【長期レビュー】新型12.9インチiPad Proの美しい画質と性能向上を実感
予約開始日である2021年4月30日に注文し、5月21日に配達された12.9インチiPad Pro(第5世代)を約1カ月使った上での評価をお伝えします。美しい画質とこれまで使っていた11インチiPad Pro(第1世代)からの進化が実感できる素晴らしいデバイスと評価しています。
ミニLEDディスプレイを中心にレビュー
筆者が購入したのは、M1チップを搭載する12.9インチiPad Pro(第5世代)のWi-Fi+Cellulerモデル、ストレージ容量256GBのスペースグレイです。
これまで使っていた11インチiPad Pro(第1世代)と、「直下型ミニLEDバックライト搭載液晶ディスプレイ(以下、ミニLEDディスプレイ)とエッジ型バックライト搭載液晶ディスプレイ(以下、液晶ディスプレイ)の画質の違い」「M1チップの処理速度」「通信環境や使い勝手」の3項目について1カ月にわたり比較しました。
▼ 両製品の仕様を確認
▼ 室内で、ミニLEDディスプレイと液晶ディスプレイ比較
▼ 屋外で、ミニLEDディスプレイと液晶ディスプレイ比較
▼ モバイルデータ通信速度
▼ Geekbench 5スコアを比較
▼ まとめ
両製品の仕様を確認
12.9インチiPad Pro(第5世代)と11インチiPad Pro(第1世代)の仕様は下記の通りです。
12.9インチiPad Pro(第5世代) | 11インチiPad Pro(第1世代) | |
---|---|---|
カラー | シルバー スペースグレイ |
シルバー スペースグレイ |
ストレージ 容量 |
128GB 256GB 512GB 1TB 2TB |
64GB 256GB 512GB 1TB |
本体サイズ 重さ |
280.6ミリ 214.9ミリ 6.4ミリ Wi-Fi+Cellular:684グラム |
247.6ミリ 178.5ミリ 5.9ミリ Wi-Fi+Cellular:468グラム |
チップ | Apple M1 8コアCPU 8コアグラフィックス 次世代のニューラルエンジン 8GBまたは16GB RAM |
A12X Bionic ニューラルエンジン |
ディスプレイ | Liquid Retina XDR 2,732 x 2,048 264ppi フルスクリーンの最大輝度1000ニト、ピーク輝度1,600ニト(HDR) |
Liquid Retina 2,388 x 1,668 264ppi ProMotion |
背面カメラ | 1,200万画素 広角 f1.8 1,000万画素 超広角 f2.4 2倍 光学ズームアウト |
1,200万画素 広角 f1.8 最大5倍 デジタルズーム |
ビデオ撮影 | 4Kビデオ撮影 (24/25/30/60fps) 1080p HDビデオ撮影 (25/30/60fps) ビデオの拡張ダイナミックレンジ(最大30fps) 2倍 光学ズームアウト 1080pスローモーションビデオ(120/240fps) |
4Kビデオ撮影 (30/60fps) 1080p HDビデオ撮影 (60fps) 3倍 ビデオズーム 1080pスローモーションビデオ(240fps) |
インカメラ | TrueDepth(超広角搭載) 1,200万画素 f 2.4 2倍 光学ズームアウト センターフレーム Retina Flash 写真のスマートHDR 3 ポートレートモード ポートレートライティング ビデオの拡張ダイナミックレンジ(最大30fps) 映画レベルの手ぶれ補正 1080p HDビデオ撮影(25/30/60fps) アニ文字、ミー文字 |
TrueDepth 700万画素 f 2.2 Retina Flash 映画レベルの手ぶれ補正 |
認証形式 | Face ID (顔認証) |
Face ID (顔認証) |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
通信形式 | Wi‑Fi 6 (802.11a/b /g/n/ac/ax) 2.4GHz/5Ghz 同時デュアルバンド 最大1.2Gbpsの速度 MIMO Cellularモデル: |
Wi‑Fi (802.11a/b /g/n/ac) 2.4GHz/5Ghz 同時デュアルバンド 最大866Mbpsの速度 MIMO Cellularモデル: ギガビットLTE(最大29バンド) |
バッテリー 駆動時間 |
Wi-Fiでのビデオ再生・ネット利用:最大10時間 モバイルネットワークでのネット利用:最大9時間 |
Wi-Fiでのビデオ再生・オーディオ再生・ネット利用:最大10時間 モバイルネットワークでのネット利用:最大9時間 |
コネクタ | Thunderbolt / USB 4 以下に対応: 充電 DisplayPort Thunderbolt 3(最大40Gb/s) USB 4(最大40Gb/s) USB 3.1 Gen 2(最大10Gb/s) Smart Connector |
USB-C Smart Connector |
LiDARスキャナ | 搭載 | ― |
SIMカード | nano-SIM (Apple SIM対応) eSIM |
nano-SIM (Apple SIM対応) eSIM |
対応Apple Pencil | Apple Pencil(第2世代) | Apple Pencil(第2世代) |
対応Keyboard | Magic Keyboard Smart Keyboard Folio |
Magic Keyboard Smart Keyboard Folio |
室内で、ディスプレイの違いを比較
12.9インチiPad Pro(第5世代)には、iPadシリーズ初となるミニLEDをバックライトに採用したディスプレイが搭載されています。
本ディスプレイに関し、「黒」の部分は直下型バックライトが点灯しないことで暗所表現が向上しましたが、バックライトの分割制御領域は2,596カ所なので、隣接する領域も点灯され滲んでいるように見えると報告されていました。
また、明度の差が大きいウィンドウを暗い背景に表示した場合に、ハロー効果のような緑色の枠が表示されるとの情報もありました。
ミニLEDディスプレイにおいて文字と隣接する領域のバックライトも点灯し、滲んでいることが下記画像のように確認できました(肉眼ではもう少し差が大きい)が、動画を見ている際に気になることはありませんでした。
また、11インチiPad Pro(第1世代)と比べると、エッジ型バックライトのような画面全体での光の漏れはなく、白い文字などの周囲だけ直下型バックライトからの光の漏れが生じていることがわかります。
設定画面でも同様ですが、それ以上に、ミニLEDディスプレイは色再現性とコントラスト比が優れていることがわかります。
- 直下型、エッジ型バックライト共に、点灯した領域では光が漏れることで「黒」の表現力が下がる
- ミニLEDディスプレイの分割制御領域は2,596カ所なので、画面内の多くの部分で高いコントラスト比による美しい画面表示が実現
- 直下型ミニLEDバックライト搭載ディスプレイでは、分割制御領域が「黒」表示の場合、くっきりとした「黒」の描写
- ミニLEDディスプレイの表示の滲みは、静止画や、撮影画像で意識的に確認しなければ気にならなかった
- 筆者の12.9インチiPad Pro(第5世代)では、ハロー効果のような緑色の枠は確認できなかった
屋外で、ミニLEDディスプレイと液晶ディスプレイ比較
12.9インチiPad Pro(第5世代)のミニLEDディスプレイの実力を、屋外でも評価しました。
屋外での日光下、曇り空の環境では、ミニLEDディスプレイの高コントラスト比により、12.9インチiPad Pro(第5世代)が見やすいと評価します。こうした点は、クリエイティブ系のユーザーだけではなく一般的なユーザーへのメリットにもなると感じました。
屋外の使用では、画面表示の滲みなどは全く気にならず(意識して確認しようとしてもわからない)、コントラスト比の高いくっきりとした見やすい表示が素晴らしいと評価します。
- 直射日光下では、12.9インチiPad Pro(第5世代)のほうがくっきりとした表示で見やすい
- 明るい環境下では、画面の滲みは全く気にならない
- 屋外で使う機会が多い場合、一般的なユーザーにもこれらはメリットになり得る
モバイルデータ通信速度
屋外での通信環境は、12.9インチiPad Pro(第5世代)がIIJmioのeSIM、11インチiPad Pro(第1世代)がahamoの物理SIMです。
両者の通信速度に大きな差は感じませんでした。ただし、5月31日午後4時台に都下ターミナル駅前で行ったスピードテストにおいて、IIJmio回線でダウンロード速度64.57Mbpsが記録されたのに対してahamoではそれに劣る結果(約59Mbps)だったのは少し意外でした。
デバイス間の性能差を考慮し、12.9インチiPad Pro(第5世代)にahamoの物理SIMを挿入してテストしても、この傾向は変わりませんでした。
- IIJmioのeSIMと、NTTドコモのahamoの通信速度はほぼ同等だった
- IIJmioのeSIMは予想以上の通信速度、ahamoが少し下回ったのは意外
- テスト結果から、音声通話をしないiPadでの使用であれば通信速度に差がなく安いIIJmioのeSIMで良いのではと感じた
- ただし、計測地点や時間帯によって通信速度が異なる可能性がある
- 1カ月のテスト期間中いずれのデバイスにおいても、通信速度が遅くて動画閲覧やWebミーティングに支障をきたした場面は無かった
Geekbench 5スコアを比較
12.9インチiPad Pro(第5世代)が搭載するM1、11インチiPad Pro(第1世代)が搭載するA12Xの処理性能は比べるべくもありませんが、試しにGeekbench 5アプリを使用して測定・比較してみました。
測定は、両デバイスともに電源アダプタを接続した状態で行っています。結果、12.9インチiPad Pro(第5世代)のシングルコアスコアは「1723」、マルチコアスコアは「7250」、11インチiPad Pro(第1世代)のシングルコアスコアは「1119」、マルチコアスコアは「4541」と明らかな差が確認できました。
重めのアプリを11インチiPad Pro(第1世代)で使用しているユーザーは、M1チップを搭載する11インチiPad Pro(第3世代)への買い替えを検討しても良いと思われます。
筆者の場合、使用用途が電子書籍リーダーとNotabilityでの記録が主なので、処理性能の差を感じることはありません。
まとめ
12.9インチiPad Pro(第5世代)と11インチiPad Pro(第1世代)を比較しながら、約1カ月間使い込んでみました。
クリエイターでもなく、オーディオ・ビジュアル愛好家でもない筆者には、ミニLEDディスプレイで懸念された画面の滲みは気になりませんでした。
それ以上に、屋外などの明るい環境での見やすさが好ましく感じた比較結果になりました。
次の11インチiPad Proには軽量で、自発光式の有機ELディスプレイが搭載されることを期待します。
次回記事では、Magic Keyboardと組み合わせた場合の使い勝手をお伝えします。
Photo:iPad/Apple
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