ArmベースのノートPC用CPUの売り上げが2020年に9倍に~今後も伸びるとの予想

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    スマートフォンやタブレットで圧倒的なシェアを誇るArmベースのCPUですが、パソコン市場では長年苦戦してきました。
     
    しかしながら、最近ではTSMCやSamsungといったファウンダリの進化によって、Intelに対して性能面で引けを取らない製品を製造できるようになったことなどにより、風向きが変わりつつあります。2020年のArmベースのノートパソコン用CPUの売上は9倍に達したとのことです。

    2020年に売上高ベースで9倍、台数ベースで5倍に達したArmベースのノートパソコン用CPU

    調査会社のStrategy Analyticsによると、Armベースのノートパソコン用CPUは、2020年に売上高ベースで9倍、ユニットベースで5倍に成長したとのことです。
     
    ただし、スマートフォンやタブレットを含めたArmベースのチップの収益は2020年に合計で280億ドル(約3兆908億円)だったのに対し、ノートパソコン向けチップの売上高はその1%に過ぎませんでした。
     
    Armベースのチップの売上高の割合
     
    また、2020年におけるスマートフォン向けシステム・オン・チップ(SoC)市場はArmベースのものがシェア100%、タブレット市場においてもシェア89%だったのに対し、ノートパソコン向けのシェアは10%未満でした。
     
    しかしながら、AppleのM1チップの後継製品や、Qualcommが買収したNuviaのCPUコアを使った製品、前述のNVIDIAとMediaTekが提携した製品、SamsungがAMDと共同開発したチップなどにより、今後はArmベースのノートパソコン向けチップの収益が大きく伸びると予想されています。

    追い風に乗るArmベースのノートパソコン用CPU

    これまでArmベースのノートパソコン用CPUは、IntelやAMDのx86ベースのものに比べて、長年苦戦を強いられてきました。
     
    この理由としては、x86ベースの膨大なソフトウェア資産の存在や、x86ベースCPUの性能面での優位性が挙げられます。
     
    しかしながら、ソフトウェア資産についてはAppleのRosetta 2MicrosoftのArm向けx86/x64エミュレーションなどで問題を克服しつつあります。
     
    また、性能面でも、TSMCやSamsungといった、ArmベースのCPUを多く製造するファウンドリがIntelを超える技術を持つようになり、ArmベースのCPUはIntelのものに十分対抗できるものとなりました。
     
    実際、Macに搭載されるAppleのM1チップはIntelのCPUを超える性能を発揮しています。
     
    また、QualcommもM1チップ対抗のSC8280XPを計画しているといわれたり、NVIDIAがMediaTekと組んで高性能GPUをChromebookに搭載できるようにしたりと、各社とも高性能なArmベースのCPUをノートパソコン向けに投入しています。

     
     
    Source: Strategy Analytics
    Photo:Pixabay
    (ハウザー)

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