米Automattic、AndroidでiMessageが使えるアプリ開発会社を買収
WordPressの開発元である米Automatticが、Android端末でiMessageを利用できるようにするアプリ「Beeper Mini」を開発する米Beeperを買収したことが明らかとなりました。
Beeper MiniはiMessageプロトコルと暗号化をリバースエンジニアリングし、Apple独自のiMessageサーバーを利用して、AndroidユーザーがApple IDなしでiPhoneユーザーに「青い吹き出し」でメッセージを送信できるようにするアプリです。このアプリは、既読確認、タイピングインジケーター、リアクション、エンドツーエンドの暗号化など、iMessageの全ての機能をサポートしていました。
AppleはBeeper Miniを何度もブロック
Appleは、Beeper MiniがiMessageサーバーを使用することを快く思っておらず、Beeper Miniアプリを何度もブロックしています。その度にBeeperは対策を講じてきましたが、最終的に脱獄済みのiPhoneを使ってBeeper Miniのサービスが利用できるようにする計画を発表しました。しかしその後、同社はその計画を断念しました。
なお、AppleがBeeper Miniをブロックしたことを受け、Beeper Miniのブロックが独占禁止法(反トラスト法)違反にあたる可能性があるとして、連邦取引委員会(FTC)と米司法省は捜査を強化し、Beeperのエリック・ミギコフスキー最高経営責任者(CEO)とも面会したと報じられています。
Beeper Miniの代わりに「Beeper」を採用
AutomatticはBeeper Miniを復活させる予定はなく、代わりにAndroid、iOS、デスクトップ端末で利用可能なユニバーサルチャットアプリ「Beeper」を採用する予定です。Beeperは、ユニバーサル受信箱で複数のチャットネットワークと統合することができますが、現時点ではiMessageには対応していません。
Automatticが買収を発表した投稿の中でBeeperのミギコフスキーCEOは、司法省が「Beeper MiniのiMessageへのアクセスをブロックしたとしてAppleを訴えた」ため、Beeperは「慎重ながらも、将来については楽観視している」と述べました。
今後、ミギコフスキーCEOはAutomatticのメッセージング部門の責任者を務め、Beeperは独立したチームとして運営されます。 なお今回の買収により、Beeperはベータ版ではなくなり正式版としてリリースされました。
米国では吹き出しの色分けが、社会問題に
Appleは、iPhoneなど同社製品から送信されるiMessageは青色の吹き出し、Androidデバイスから送信されるメッセージは緑色の吹き出しを出して区別しています。他の国と比べて圧倒的にLINEが普及している日本では考えられないことですが、この区別が、米国の若者の間では「仲間外れ」問題に繋がると指摘されています。
米国でのiPhoneのシェア率はそこまで高くはありませんが、市場調査会社CIRPの調査によると、18歳〜24歳の世代では70%以上と高いことから、この問題が発生していると言えるでしょう。
同社が昨年、メッセージ送受信の標準規格RCS(Rich Communications Services)に、2024年後半に対応すると発表し、吹き出しの色が変わるのではないかと期待されましたが、同社は色を変えない方針です。
Photo:Apple