Netflix、発売時にApple Vision Pro向けアプリを提供せず

Apple Vision Pro

Apple Vision Pro
 
Apple Vision Proの発売時には100万以上のアプリが、同デバイス向けのApp Storeで提供される予定ですが、NetflixはVision Pro向けアプリをリリースする予定がないことをBloombergのマーク・ガーマン記者が報じました。その代わり、ヘッドセット上のSafariやそのほかのWebブラウザからは、Netflixにアクセスできます。
 
Netflixの広報担当者は、ガーマン記者に「会員がMacでNetflixを楽しめるのと同じように、Vision ProのWebブラウザでも楽しめるようになる」と語ったということです。

■3行で分かる、この記事のポイント
1.Netflix、Vision Pro向けアプリをリリースする予定なし。
2.Vision Pro上のSafariからは、Netflixにアクセス可能。
3.Vision Proでは発売時、150本以上の3D映画の視聴が可能。

Netflix、Vision Pro向けアプリは提供せず

ガーマン記者はニュースレター「Power On」の2023年7月号で、Netflix は「自社のiPadアプリをそのままヘッドセット上で動作させるつもりだ」と述べていましたが、現在は、NetflixがVision Pro向けのアプリを提供することはない」としています。
 
Appleは開発者がiPadOSアプリを簡単にvisionOSに移植できるようにしており、発売時にはDisney+をはじめ、Amazon Prime Video、NBAなど数多くのストリーミングサービスのVision Pro向けアプリが利用できるようになりますが、Netflixは明らかにこれを選択しませんでした。
 
発売時にVision Proで利用できるストリーミングサービスのアプリには、Disney+、Amazon Prime Video、NBAのほか、ESPN、MLB、PGA Tour、Max、Discovery+、Paramount+、Peacock、Pluto TV、Tubi、Fubo、Crunchyroll、Red Bull TV、IMAX、TikTok、MUBIが含まれます。

Vision Proでは、150本以上の3D映画の視聴が可能

発売と同時にVision Proユーザーは、アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」「スパイダーマン:スパイダーバース」などの人気作品を含む150本以上の3D映画を体験できるようになるということです。
 
また、Apple TVアプリには「Cinema Environment(シネマ環境)」機能が搭載されており、視聴者はあらゆる空間を「パーソナルシアター」に変えることができます。シアターの床やバルコニー、最前列、中央列、最後列から好きな席を選ぶことも可能です。
 
AppleとFairview Portalsが開発した無料アプリ「Encounter Dinosaurs(恐竜との遭遇)」もVision Proに同梱されており、恐竜が地球を闊歩し、大自然がその頂点に君臨していた6,600万年以上前の白亜紀を体験できます。
 
また、Appleが新たに開発した新しいエンターテインメントフォーマット「Apple Immersive Video(突入型ビデオ)」を体験可能になります。Apple Immersive Videoは、空間オーディオに対応する180度3Dの8K映像を特徴としており、まるでその場にいるかのような、没入型エンターテイメント体験が可能になるということです。
 
今のところ、Apple Immersive Video向けコンテンツとして、アリシア・キーズのリハーサル・セッションを体験できる「Alicia Keys: Rehearsal Room」を含む4作品が用意されています。

NetflixがVision Pro向けアプリを提供しない理由を考える

昨年から米国でもNetflixでパスワード共有の取り締まりが行われるようになりましたが、解約者が続出したという報道の一方で登録者数が急増したとも伝えられています。同社はまた、パスワード共有の取り締まりの効果について「非常に満足している」とも述べていました。
 
市場分析データサービスなどを提供するSimilarwebによると、Netflixの米国における市場シェア率は前年同期比で減少しているものの、2023年度の第1四半期(1月~3月期)の市場シェア率は44.21%で、依然として主要ストリーミングプラットフォームとしての地位を維持しています。
 
また、エンタテインメント業界に特化した市場調査やマーケティングを行うGEM Partners株式会社の調査によると、日本国内のNetflixの2023年の市場シェア率は22.3%で4年連続で首位を獲得しました。
 
今後、Vision Proの空間コンピューティングアプリを含め、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)向けアプリに関する市場は急成長していくことでしょう。それにも関わらず、Netflixがこの市場に参入しないのは、圧倒的なシェア率を誇る自信からなのでしょうか。個人的な意見にはなりますが、Netflixは膨大な制作費をかけてオリジナルシリーズや映画の制作に力を入れており、それが圧倒的なシェア率獲得に繋がっていると思っています。
 
Netflixは、これまでのマーケティング戦略である程度実績を上げており、他社サービスとの差別化を図るためにも、あえて現時点で新規市場に参入する必要がないと判断しているのかもしれません。
 
 
(m7000)

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