AppleがインドでApple Card発行を計画も、実現が困難な3つの理由

Apple Card

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Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)が4月にインドを訪れた際、大手銀行や金融規制当局と会談し、インドでのApple Card発行やApple Pay提供に向けた協議をしたと報じられています。Apple Cardは2019年にアメリカでサービスが開始されましたが、他の国・地域でのサービス開始については発表されていません。
 

■3行で分かる、この記事のポイント
1. Appleがインドの金融関係者とApple Cardについて協議。
2. 実現すればアメリカ以外で初のApple Payサービス提供。
3. ただし、3つの理由により実現は難しいだろう、と米メディア。

Apple Cardサービス提供の可能性を大手銀行や金融当局と協議

ティム・クックCEOは、インドの金融大手HDFC Bankの幹部と会談し、Apple CardやApple Payのサービス開始の可能性について協議した、とインドメディアMoney Controlが報じています。
 
クックCEOはインドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)と、Apple Cardの外観について協議した模様です。

 
インドでは、Apple CardのMastercardとGoldman Sachsのように、複数ブランドによるクレジットカードはカード表面にブランドを記載する規則があります。RBIはAppleも例外ではなく、インドの規則に従うよう求めたとのことです。

AppleがインドでApple Cardサービスを開始したい理由

Apple Cardは2019年8月にアメリカでサービスが開始され、もうすぐ4年が経過しようとしています。クックCEOはアメリカ以外でのサービス提供に意欲を示す発言をしていますが、現在もアメリカ以外ではサービスが提供されていません。
 
Appleが、Apple Cardの発行を日本やヨーロッパなどよりも先に、インドで検討している理由についてMoney Controlは、Appleが現在クレジットカード払いを受け付けていないからだろう、と推測しています。

インドでApple Card発行が難しい3つの理由

Apple Cardは、Appleのロゴが刻印されたチタニウム製のカードと、Appleからの購入で3%、Apple Payでの支払いで2%、その他の支払いで1%のキャッシュバックが受けられる高還元率が魅力で、多くのAppleファンがアメリカ以外でのサービスを待ちわびています。
 
しかし、以下の3つの理由により、インドでのApple Cardサービスの提供は簡単には進まないだろう、と米メディア9to5Macは指摘しています。同メディアは、同様の問題はインド以外でも起きると思われ、Apple Cardの国際展開は難しいのではないか、とコメントしています。
 

1. キャッシュバックの還元率

最大の障壁はキャッシュバックの還元率です。アメリカでは3%以上の高還元率は珍しくありませんが、その原資の大部分は販売者が支払う取引手数料となっています。
 
アメリカで取引手数料は2.95%プラス20セント程度ですが、ヨーロッパでは取引手数料がクレジットカードは0.3%、デビッドカードは0.2%と上限が定められており、キャッシュバックの原資が確保できません。
 

2. カードの券面デザイン

Apple Cardのチタニウム製カードは、表面にAppleのロゴと利用者名だけという、非常にシンプルなデザインが特徴です。
 
しかし、インド準備銀行はAppleにも例外を認めず、カード表面にMastercardとGoldman Sachsのロゴを印字するよう求めています。
 
Appleがインドでカードを発行するには、従来のデザインを変更する必要があります。
 

3. カード利用者データの扱いに関する規則

インド準備銀行は、クレジットカードの発行パートナーは顧客データや取引データを保管することを禁じています。そのため、Apple Cardに関する情報をAppleのプラットフォームに残せないこととなります。

4月には高金利の預金口座サービスも

Appleは、2023年4月にApple Card保有者を対象に、年率4.15%という高金利の普通預金サービスも開始し、多くの利用者を取り込んでいます
 
日本では、Apple Cardの商標登録申請が確認されていますが、これまでにサービス開始に関する具体的な情報はありません。
 
クレジットカードの還元率が1%以上なら高還元率とされる日本で、Apple Cardのサービスが開始されれば人気を集めそうだけに、日本でのサービス開始についても期待したいところです。

 
 
Source:Money Control via 9to5Mac
Photo:Apple
(hato)

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この記事を書いた人

2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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