iPhone11シリーズに搭載の「A13」チップの設計思想、開発者が語る
9月20日に発売されたiPhone11、iPhone11 Pro、iPhone11 Pro Maxに搭載されているA13プロセッサの設計について、Appleの役員と開発者が語っています。
A12と比べてA13は20%性能向上、30%省電力
Appleは、先日のスペシャルイベントでiPhone11シリーズを発表した際、新開発のA13プロセッサにより、処理性能の向上と省電力化を高い水準で両立したことを強調しました。
Appleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィリップ・シラー氏と、チップ製造エンジニアのアナンド・シンピ氏が、A13プロセッサの設計上の工夫について、米メディアWiredのインタビューに語っています。
A13プロセッサの性能については、以下の数字が明かされています。
- 85億個のトランジスタ:A12プロセッサの69億個から約23%増加しています。
- 6コアのCPU:2.66GHzのパフォーマンス重視「Lightning」コア2つと、効率性重視の「Thunder」コア4つで構成されています。
- クアッドコアGPU:さらに、機械学習用に8コアのニューラルエンジンが搭載されており、1秒に1兆回の演算が可能です。
- 最大20%の処理性能向上:CPU、GPU、ニューラルエンジンの総合で、A12からパフォーマンスが向上しています。
- 最大30%の電力効率:A12と比較した省電力性が向上しています。
A13の最大の進歩は「テキスト音声読み上げ」
シラー氏は、A13プロセッサで最も大きく進化したのはテキストの音声読み上げ(Text to Speech)だと語っています。
Appleは、6月の世界開発者会議(WWDC 19)でiOS13を発表した際、より自然な読み上げが実現したことを強調しています。
これは、機械学習とニューラルエンジンの効果によるものだそうです。
チップ開発では「消費電力あたりの処理性能」を重視
Appleは、Aシリーズプロセッサの開発において処理性能と電力効率の両方を重視している、とシンピ氏は語っています。
広告などでは処理性能の高さがアピールされていますが、Appleのチップ開発者たちは、「ワット(消費電力)あたりの処理性能」を重視しており、電力効率の高さは性能の高さと一体として考えられているそうです。
Source:Wired via MacRumors, 9to5Mac
(hato)