iPhone Xに搭載のA11を製造するTSMC会長「ムーアの法則はもう無効」

A11 Bionic

A11 Bionic

 
iPhone Xに搭載されている最新のプロセッサ、A11 Bionicの製造を独占受注しているTSMCの張忠謀(英語名はモリス・チャン)会長が、「ムーアの法則はもう有効ではない」と、処理性能の進化スピードが鈍っていると語りました。

「2025年には進化は行き詰まる」

ムーアの法則」は、Intelの共同創業者、ゴードン・ムーア氏が1965年に提唱した「集積回路上のトランジスタ数が18ヶ月ごとに2倍になる」という法則で、コンピュータの処理性能の進化の速さの象徴としても位置付けられてきました。
 
張会長は、TSMCは今後8年間、トランジスタの密度を上げ続ける予定だが2025年に行き詰まるだろう、と語り「もうムーアの法則は有効ではない」と語っています。
 
同氏は、現在、トランジスタ密度の進化スピードは、オランダのASMLが独占している半導体製造装置の性能によるところが大きい、とも語っています。
 
張会長と同じフォーラムに出席していたASMLのピーター・ウィニック最高経営責任者(CEO)は、2030年までの技術進化の計画が立っている、と見通しを語っています。

進化を続けるiPhone用のAシリーズプロセッサ

TSMCは、iPhone XやiPhone8/8 Plusに搭載されているA11 Bionicプロセッサの製造を一手に引き受けている、Appleの主要サプライヤーです。A11 Bionicプロセッサを搭載したiPhone8は、ベンチマークスコアで最新のMacBook Proに迫る高い処理性能を誇ります。
 
A11は、現時点で最先端の製造技術である10nmプロセスで製造されており、16nmプロセスだったA10から高密度化が進んでいます。さらに、2018年のiPhoneには7nmプロセスのA12プロセッサが搭載される、とも予測されています。

iPhone Xに搭載のA11 Bionicの製造を一手に引き受けるTSMC

Appleは、リスク管理とコスト低減のため、主要部品の製造を単独サプライヤーに集中させることを避ける傾向がありますが、同社の屋台骨を支える製品の心臓部を委ねていることから、TSMCへの信頼の厚さがうかがえます。
 
iPhone Xの新機能のひとつ、顔文字にユーザーの表情を反映させる「アニ文字」は、数年前なら映画撮影などに使われる大掛かりな装置がないと撮影できなかったのですが、TrueDepthセンサーで捉えた3D情報を高速処理することで、手のひらでリアルタイムに実現しています。

 
 
Source:Patently Apple
(hato)

 
 

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この記事を書いた人

2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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