Apple Aシリーズの2nm時代は2年で終了か〜2028年に1.4nmへ

Appleが最新のAシリーズチップの製造に用いるTSMCの最先端プロセスについて、今秋導入見込みの2nmプロセスは改良型を含めても2年で終了し、2028年には1.4nmプロセスへ移行するとの予想が、サプライヤー関連情報として報じられました。
TSMCの最新ロードマップとApple Aシリーズの関係
AppleがTSMCの最先端プロセスを継続して採用する場合、Aシリーズチップの製造プロセスは次のようになると予想されていました。
- 2025年:N2(2nm) → A19シリーズ
- 2026年:N2P(改良型2nm) → A20シリーズ
- 2027年:A16(1.6nm) → A21シリーズ
- 2028年:A14(1.4nm) → A22シリーズ
- 2029年:A13(1.3nm) → A23シリーズ
ここでいう「A16」「A14」「A13」は、AppleのAシリーズチップ名ではなく、TSMCのプロセス世代名を指します。

A20は改良型2nm、A21は1.4nmで製造か
今回報じられた最新の見通しでは、A16こと1.6nmプロセスでAシリーズチップが製造されることはなく、N2Pの次にA14こと1.4nmプロセスへ移行するとのことです。

その場合、2nm世代のプロセスは、N2と改良型のN2Pを含めて2年間使用されることになります。
最新の見通しに基づくAシリーズチップと製造プロセスの関係は、次のようになります。
- 2026年:N2 (2nm)→ A19シリーズ
- 2027年:N2P (改良型2nm)→ A20シリーズ
- 2028年:A14(1.4nm) → A21シリーズ
- 2030年:A13(1.3nm) → A22シリーズ

A14をN2と比較した場合、同じ処理性能なら消費電力が25%〜30%削減され、同じ消費電力なら10%〜15%の処理性能向上が得られることが、TSMCの発表などから期待されています。
A14に移行する前に改良型2nmプロセスであるN2Pを採用する場合、その差は小さくなるとしても順当に消費電力削減と処理性能向上が実現される可能性が高いでしょう。
3nmプロセスは改良型を含めて3年間使用
3nmプロセスは、N3(N3B)、N3E、N3Pを用いて3年間、Apple Aシリーズチップの製造に使用されました。
それと比べると、2nmプロセスでの製造期間は1年短くなることになります。
その理由としては、次の2点が考えられます。
3nmプロセスの立ち上げに苦慮した影響か
TSMCの3nmプロセス「N3」では、半導体の量産試作段階で歩留まり率、つまり良品率が目標を下回っていたと報じられていました。
そのため、Appleを含め、当初のN3で製造委託を決断する企業は限られていたとみられています。
その後、N3を小改良したN3Bでようやく許容範囲に達したことで、A17 Proの量産が開始されたと考えられていました。
つまり、この段階でN3EやN3Pへの移行時期にも遅れが生じ、結果として3nm世代の使用期間が長くなった可能性があります。
1.4nmプロセスの開発が順調に進んでいる可能性
もう1つの理由として、2nmプロセスの後継となる1.4nmプロセスの開発が順調に進んでいる可能性があります。
試作段階で初期歩留まり率に良好な見通しが立っているのであれば、Appleが2nm世代を短期間で切り上げ、1.4nmプロセスへ移行することも考えられます。
Appleシリコンの一部をIntelが米国内で製造する可能性も
この時期と前後して、AppleはIntelの18Aプロセスを用いて、AシリーズチップおよびMシリーズチップの標準版を米国内で製造する可能性があるとの海外報道もあります。
現行製品でいえば、A19やM5のような標準版チップが対象になるとみられます。
この見方については、ここ数日のトランプ大統領のコメントからも示唆されているとの指摘があります。
上位チップとの差別化のため最先端プロセスへの移行を加速か
仮にIntelが一部のAppleシリコンの製造を受託したとしても、最先端プロセスを用いた上位チップについては、引き続きTSMCが担うとの情報もあります。
現行製品でいえば、A19 ProやM5 Pro、M5 Maxのような上位チップが該当します。
そのため、Appleは標準版チップと上位チップを明確に差別化するため、TSMCの最先端プロセスへの移行を積極的に進める可能性があります。
また、Appleシリコンの製造においてTSMCとIntelの間に一定の競争関係が生まれれば、Appleはウェハー単価や製造委託価格の交渉を、これまでより有利に進められる可能性があります。
チップの調達価格を抑えられれば、DRAMやNANDフラッシュメモリなど他の部材価格の上昇分を、ある程度吸収できるかもしれません。
その結果、製品販売価格の値上げを抑制できることも期待されます。
DRAMとNANDの価格高騰は少なくとも2027年末まで続く可能性
各社のスマートフォンやPCの販売価格に大きな影響を与えているDRAMおよびNANDフラッシュメモリの価格高騰は、少なくとも2027年末まで続くと予想する市場調査会社やアナリストもいます。
そのためAppleにとっては、メモリ以外の部材や製造コストを継続的に抑えることが重要になります。
TSMCの最先端プロセスへの移行、Intelへの一部製造委託、自社設計チップの効率化は、今後のApple製品の性能向上だけでなく、価格上昇をどこまで抑えられるかという点でも重要な要素になりそうです。
Photo: Apple Hub/Facebook, Tom’s Hardware, IT之家
