Xbox Cloud GamingはiOSアプリ化でマネタイズできない?
クラウドゲームサービス「Xbox Cloud Gaming」を提供するMicrosoft Gamingは、欧州連合(EU)での新規制の導入により、いわゆる“アプリストア開放”が行われた後でもiOSアプリを打ち出すつもりはないことが明らかになりました。単純に儲けにならないからだそうです。
「Xbox Cloud Gaming」はWebアプリとして提供
Microsoft Gamingのフィル・スペンサー最高経営責任者(CEO)は米メディアThe Vergeとのインタビューの中で、なぜiOSアプリを展開しないかを説明しています。
まず押さえておきたいのは、「Xbox Cloud Gaming」は現在のところWebアプリとしてのみiOSで提供されており、App Storeから配信される正式なアプリでないということです。
Microsoft Gamingがあえてこのような手法でサービスを提供しているのは、App Storeでのガイドラインによりクラウドゲームプラットフォームが禁止されているためとこれまで考えられてきました。
AppleはDMA施行後にクラウドゲームアプリを許可
AppleはEUでのデジタル市場法(DMA)の施行後に一転、クラウドゲームアプリのApp Store掲載を許可する新ガイドラインを導入しました。しかしながら、それでも「Xbox Cloud Gaming」をiOSアプリ化するつもりはないとスペンサー氏は述べています。
「iOSでXbox Cloud Gamingをマネタイズする余地はありません。(中略)実際、Appleはある意味(オープン化とは)逆の方向に進んでいるとさえ言えるかもしれません」
AppleがDMAに準拠するために代替アプリストアでのアプリ配信をEU圏内に限って許可する方針を発表しましたが、年間100万インストール以降、1インストールごとに0.5ユーロ(約80円)の支払いを求めるという悪条件があることが批判の対象となっていました。
App Storeを通して販売されるiOSアプリにかけられる手数料も30%から17%へと減額されましたが、それでも儲けにならないというのがプラットフォーム運営側からの正直な意見のようです。
Webアプリがまともに動作しなくなる可能性も
AppleはEU圏内でのiOSとSafariのオープン化に際して、WebKit以外のブラウザエンジンをベースにしたブラウザの使用も認めていますが、この実装プロセスでこれまで動作していたWebアプリが正しく動かなくなっていると報告されています。
これでは“オープン化”と言いながら実際にはさらなる規制強化を行っていると非難されても仕方がないのではないでしょうか。Appleにはもう少し真摯な対応を期待したいところです。
Photo:Microsoft