Apple、EU向けに代替アプリストア許容や手数料減額を発表。EpicのCEOは批判

Apple EU Digital Markets

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Appleは現地時間1月25日、ヨーロッパ連合(EU)のデジタル市場法(DMA)に準拠するため、EUにおけるiOS、SafariApp Storeのポリシーの変更を発表しました。これには、代替アプリストア(Appleはこれをマーケットプレイスと呼ぶ)の許容、手数料減額などが含まれます。
 
フォートナイト」で知られるEpic Gamesティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)は自身のXでの投稿で、この変更を即座に批判しました。スウィーニーCEOによると、この新しいポリシーは、「ジャンク手数料が横行する反競争的なスキーム」であり、「悪質なコンプライアンス」の新たな例だといいます。
 

■3行で分かる、この記事のポイント
1.EUのDMA準拠のため、Appleは代替アプリストア許容や手数料減額を発表。
2.Epic GamesのCEOは「悪質なコンプライアンス」の新たな例と批判。
3.App Storeを通じて販売されるiOSアプリの手数料を30%から17%へ減額。

Epic GamesのCEO、新ポリシーを批判

スウィーニーCEOは、Appleの新ポリシーはDMAの条項に照らして違法であると述べ、Appleは開発者に対し、従来の15%もしくは30%の手数料を支払う条件か「ダウンロードには新たなジャンク料金が発生し、処理されなかった支払いには新たなApple税が課されるという新たな反競争的スキーム」のどちらかを受け入れるよう強制していると主張しました。
 
「ジャンク手数料」というのは、「CTF(Core Technology Fee)」と呼ばれる新たな手数料制度のことを指していると思われます。
 
App Storeや代替アプリストアから配布されるiOSアプリは、年間100万以上のインストール以降、1インストールごとに0.5ユーロ(約80円)の支払い義務が課せられます。CTFは12カ月間の最初のインストールに対して、顧客アカウントごとに課金されるということです。ただし、同じ年に同一アカウントが繰り返しインストールしても追加料金は発生しません。Appleは、ほとんどのアプリが年間100万インストールのしきい値に達しないため、CTFを支払う開発者は1%未満と見積もっています。
 
なお、スウィーニーCEOの言う「処理されなかった支払いに課せられるApple税」が何を意味するのかは不明です。
 
同氏はまた、Xの投稿の後半でiOSとAndroidでEpic Games Storeを立ち上げる決意を固めていると述べました。しかし、現在のAppleのポリシーでは、Epic Games Storeを許可するかどうかはAppleに委ねられることを指摘しています。
 

手数料は30%から17%に減額

EU圏内のApp Storeを通じて販売されるiOSアプリは、手数料を17%に設定され、Appleのアプリ内課金システムを利用する場合は3%を上乗せした代替条件を受け入れることが可能になりました。いずれにせよ、従来の30%から大幅に引き下げられたことになります。App Store Small Business Programを利用する開発者は、従来の15%から10%プラス3%の手数料を支払うことになります。
 
EUの新しい料金体系は、EUの顧客がアプリを入手できる先がAppleのApp Storeだけではなくなったことを反映しています。開発者は、同社の10%もしくは17%の手数料を受け入れてApp Store内でアプリを販売するか、他の場所で販売するかを選択可能です。ただし、CTFはアプリがApp Store内で販売されているか、サードパーティーのマーケットプレイスで販売されているかに関わらず、100万のしきい値を超えた場合に適用されます。

EUでのアプリ配布においてコストのシュミレーションが可能

Fee calculator
 
この変更により、開発者はアプリを配布するにあたり、利用するアプリストアや決済システムを選べるようになりますが、それによって掛かる費用も異なります。そのため、Appleは、開発者が選んだ方法でどれくらいの料金がかかるかを予測するのに役立つ「料金計算ツール」も公開しました。
 
このツールでは、「App Storeとアプリ内課金を使用」「App Storeと代替決済システム使用」「代替アプリストアのみ使用」「App Storeと代替アプリストアの両方を使用」の4つから選択することが可能で、予想されるダウンロード数や売上高を入力することで、かかるコストを見積もります。
 
ちなみに、年間100万以上のインストールがあった場合の費用を計算してみましたが、年間200万回のダウンロードでのCTF料金は、22,645ドル(約320万円)でした。MacRumorsも指摘していますが、これは無料アプリ開発者にとっては持続不可能なモデルだと言えるでしょう。
 
現時点では、今回の変更が開発者やユーザーにとってプラスに働くとは必ずしも言えず、この変更が適用される3月以降、どのような状況になるのが注目されます。
 
 
Photo:Apple(1), (2)
(m7000)

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この記事を書いた人

本職はWebデザイナーでMacBook Airを10年以上愛用中。iPhone Maniaのライターとしては、2020年から活動開始。iPhone歴は4s→6→7→XS→12 Pro Max。

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