【レポ】楽天モバイル→合理的シンプル290プランにeSIMでMNP〜方法や注意点は?

日本通信SIMの合理的シンプル290プラン

日本通信SIMの合理的シンプル290プラン
 
これまで筆者は月額0円でのスマートフォン利用を謳歌してきたのですが、2022年7月から楽天モバイルが有料化されるとのことで、日本通信SIMの合理的シンプル290プランにeSIMでMNPすることにしました。
 
ちょうど1カ月前にeSIMに対応したばかりの日本通信SIMなので少し不安はありましたが、eSIMでのMNPに無事成功しています。
 
この体験を通してわかった、楽天モバイルからeSIMでの日本通信SIMへのMNPの方法や注意点を解説します。

楽天モバイルでMNP転出手続き、の前にまずは日本通信SIMで申し込み

MNPをする場合、通常であればまずは現在利用しているキャリアからMNP予約番号を取得する必要があります。
 
しかしながら、日本通信SIMにeSIMでMNP転入する場合はMNP予約番号取得より前に、先に日本通信SIMで申し込みをおこなうのがおすすめです。
 
これは日本通信SIMへのMNP転入でMNP予約番号が必要になるのは申込時ではなく、本人の住所確認が終わり、自宅に書類が届き開通をする段階になったときだからです。
 
書類不備で住所確認が遅れたり、混雑で書類発送が遅れたりしたらMNP予約番号の有効期限が過ぎてしまう可能性があります。
 
最近はMNP番号の取得が無料のところも多いですが、念のため後からMNP予約番号を取得する方がいいでしょう。
 
日本通信も、MNP予約番号について、
 

お客様情報の確認完了メールが届いた後の取得をおすすめします。

 
としています。
 
なお、物理SIMの場合は申し込み段階で必要なので、先にMNP予約番号を取得しましょう

 

日本通信のサイトから申し込む

合理的シンプル290プランへのMNP転入は日本通信SIMのサイトからこのプランのページに行き、「今すぐ申し込む」を選択します。
 
合理的シンプル290プランの申し込み
 
eSIMの場合、申し込み段階では新規開通かMNP転入かの違いがない点に注意してください。書類が手元に届いた段階で、既存の電話番号とMNP予約番号を使えばMNP転入、使わなければ新規の扱いになります。
 
この辺りの説明があまりないのが不親切なところで、筆者もサイトのいろいろなところを見てようやくこの結論に辿り着きました。
 
その後の画面でeSIMを選ぶとeSIM対応のデバイスかどうかなどの注意点や、必要書類などが表示され、申し込み画面が表示されます
 
ここでのポイントは初期手数料の支払い方法についての選択肢です。
 
日本通信SIMの申し込みでスターターパックを使うかどうか
 
何も用意しなくても問題ないのですが、その場合は3,300円(税込)の初期手数料が請求されます。
 
「スターターパック」はAmazonなどのネットショップや量販店で3,000円ほどで売っていますので、費用を少し節約可能です。
 
日本通信SIMのスターターパック
 
ただ、このスターターパックはオンラインコードではなく紙に書かれたコードのため、手に入れるまでに時間がかかりますので、時間に余裕がない方はそのまま手続きを進める方がいいでしょう。
 
後は特に迷うことなく進めていけるかと思います。

 

スターターパックに書かれた文言に注意

1つ注意してほしいのはスターターパックに書かれた文言です。
 
スターターパック記載のフローには、
 

ご利用中の電話番号でご契約をする方(MNP転入)はお客様情報の入力画面で、ご利用中の電話番号を必ず入力してください。ご入力がない場合、新規の電話番号が発行されますのでご注意ください。

 
と書かれています。
 
日本通信SIMのスターターパックに書かれた文言
 
筆者は別の電話番号を入力して手続きをおこない、後からこの文言に気づき、慌ててサポートに連絡しました。
 
結果的にはeSIMの場合、前述の通りMNPをおこなう電話番号は後から登録をおこなうため、この指示に従わなくても問題なかったそうです。
 
まだ日本通信SIMがeSIMに対応していないときに作られた説明文なのかもしれませんが、eSIMでMNPしようと考えている方は気をつけてください。

申し込みから4日で書類が届く

申し込みを終えたら日本通信SIMからお客様情報の確認のお知らせが届き、その後住所確認兼手続きの書類が届くのを待ちます。
 
筆者の場合、日曜日に手続きをして、翌日に確認のお知らせメールが届き、木曜日に書類が手元に届きました
 
日本通信SIMは物理SIMの場合、申し込み完了から通常3日前後で出荷するとしていますが、eSIMの場合は普通郵便での発送のため時間がかかったことを考えると、おおむねこの範囲で発送されたといえるでしょう。
 
少なくとも筆者が手続きをした段階では楽天モバイルからのMNP転入者増加の影響を受けていないようです。

 

住所確認コードを入力し、eSIMをアクティベート

先述の通り、書類は普通郵便で届きます。
 
日本通SIMから届いた書類
 
なかにはA4サイズの紙が1枚しか入っていません。
 
日本通SIMの住所確認コード書類
 
この紙に書かれた通りに手続きをすれば、特に迷うことなくeSIMのアクティベートやプロファイルのダウンロードがおこなえました。

 

開通手続きは営業時間以外非対応

この手続きで注意してほしいのは、開通手続きは営業時間内にしかおこなわれないという点です。
 
10時から20時までであれば1時間以内に完了するとされており、実際筆者の場合は数分で完了しました。
 
これ以外の時間の場合、10時からの対応になり、すぐに開通手続きが完了しません。
 
日本通SIMの開通手続きにかかる時間
 
MNPの場合は回線が切り替わる時間に関わるため、余裕を持って手続きを開始することをおすすめします。

合理的シンプル290プランをeSIMで使う際の注意点

筆者はpovo 2.0を物理SIMで使っており、物理SIMスロットが1つしかないiPhone XRを使用しているため、デュアルSIMで合理的シンプル290プランを使うにはeSIMでMNP転入せざるを得ませんでした。
 
しかしながら、合理的シンプル290プランには楽天モバイルにはない、eSIMを使う場合の注意点があります。
 
筆者は現状では物理SIMのほうがおすすめと感じました。

 

eSIMに対応しているのはiPhone/iPadシリーズだけ

eSIMにはApple製端末だけでなくAndroidも含めたさまざまな端末が対応していますが、日本通信SIMがeSIMでサポートしているのはiPhoneシリーズおよびiPadシリーズだけです。
 
サポートの負荷を減らすためなのでしょうが、Androidスマホには対応していないのでご注意ください。
 
本当に使えないのか、使うことはできるがサポートしていないのかは不明ですが、Androidスマホを使っているなら物理SIMを選択するべきでしょう。

 

再発行や物理SIMへの変更に手数料がかかる

楽天モバイルではeSIMの再発行や物理SIMへの変更が無料ですが、日本通信SIMの場合は有料です。
 

  • 物理SIMからeSIMへの変更:1,100円
  • eSIMの再発行:1,100円
  • eSIMから物理SIMへの変更:3,300円

 
このなかで特に困るのが、eSIMの再発行が有料であるという点です。
 
これは機種変更をおこなったり、修理のための代替機を使ったりするたびに1,100円が必要であることを意味します。
 
かといって物理SIMに変えるにはその3倍の3,300円が必要と、悩ましい手数料設定といえるでしょう。
 
さらに、現時点でこれらの手続き対応時期は未定とされており、手続きをおこなうにはサポートに連絡する必要があります。
 
頻繁に機種変更をするなら、最初から物理SIMにしておいたほうがよさそうです。

 

ドコモ回線のeSIMと併用できない

iPhoneシリーズの場合、iPhone13以降であれば2つのeSIMを使ってデュアルSIM環境を構築できますが、日本通信SIMをeSIMで使った場合、ドコモ系のキャリアおよびMVNOのeSIMと日本通信SIMのeSIMを併用することはできません
 
これはeSIMの識別番号であるEIDの管理方法がドコモ系で共通だからだそうで、2つ目のeSIMはau系やソフトバンク系、楽天モバイルにする必要があります。
 
ドコモ系のMVNOは選択肢が多く、物理SIMを使いたくない場合は楽天モバイルから日本通信SIMにMNPすることでデュアルSIMの選択肢が狭まりそうです。

楽天モバイルから合理的シンプル290プランにMNPしてよかったこと

実際に楽天モバイルから日本通信SIMの合理的シンプル290プランにMNPしてよかったと感じたことを挙げます。

 

電波の入りがいい

合理的シンプル290プランはドコモ系のMVNOですので、定評のあるドコモのアンテナ網が使えます。
 
楽天モバイルも以前に比べれば改善しましたが、依然として建物の地下などでは電波の入りが悪いです。
 
合理的シンプル290プランに変えたところ、そのような場所での電波の入りが明らかによくなりました
 
地方などではより大きく差が感じられるかもしれません。

 

デュアルSIMを使わなくてもよくなった

筆者は楽天モバイルの電波の悪さを危惧して、楽天モバイルに加えてau系のpovo 2.0やdonedoneを使ってデュアルSIMで運用していました。
 
しかしながら、合理的シンプル290プランにしたことで電波の入りがよくなったことから、現在では常時デュアルSIMで運用する必要性を感じません
 
シングルSIMに比べるとデュアルSIMは多少なりともバッテリーの消費量が多いでしょうから、充電なしでより長くスマートフォンを使えるでしょう。

 

電話が着信しない心配がなくなった

楽天モバイルでiPhoneを使っていると電話が着信しないという現象が報告され、楽天モバイルは改善したとしていますが、筆者の環境ではその後もこの現象が起きています。
 
日本通信SIMにしたことでこのような現象が起きる心配がなくなったのは嬉しいことです。

楽天モバイルから合理的シンプル290プランにMNPしたデメリット

もちろんこのMNPはいいことばかりではなくデメリットもあります。

 

Webサイトが全体的にわかりづらい

今回日本通信SIMのサイトから申し込みをして感じたのは、Webサイトが全体的にわかりづらいという点です。
 
必要なことは書かれてはいるのですが、頭にスッと入ってくる書き方でなかったり、情報を探さないと見つからなかったりと、不親切な印象を受けました。
 
楽天モバイルも決してわかりやすいわけではありませんが、日本通信SIMのサイトはそれ以上にわかりづらいです。

 

通信速度は楽天モバイルのほうが高速

MNP前後で通信速度を比較すると、明らかに楽天モバイルのほうが速いです。
 
楽天モバイルを使っている家族の端末を使い、同じiPhone XRで同時に測定した結果がこちらです(左:楽天モバイル、右:合理的シンプル290プラン。平日午後4時49分に測定):
 
楽天モバイルと合理的シンプル290プランの通信速度比較
 
ダウンロード速度は楽天モバイルの20.7Mbpsに対して合理的シンプル290プランは8.87Mbpsと、倍以上の差がつきました。
 
ただ、Pingは楽天モバイルの314ミリ秒に対して38ミリ秒、アップロードは1.21Mbps対して1.49Mbpsと全面的に劣っているわけではありません。

 

通信量の上限を超えると一切通信不可

合理的シンプル290プランでは1GBまでの高速通信が無料で、それ以上は従量課金になります。
 
青天井に料金が上がることを防ぐため、通信量の上限を設定できるのですが、合理的シンプル290プランでは設定された高速通信量の上限を超えるとほかの一般的なMVNOのように低速通信になるのではなく、一切通信ができなくなる仕様です。
 
もちろん、上限を変更すれば再び通信ができるようになりますし、設定変更に必要な日本通信SIMのウェブサイトおよびマイページへのアクセスは可能なのですが、まったく通信ができなくなることを知らないとパニックになるかもしれません。
 
また、Googleなどの検索エンジンも使えなくなるでしょうから、設定変更のためのマイページは必ずブックマークに登録しておくようにしましょう
 
なお、2022年6月までは暫定措置として上限を超えても低速通信が可能です。

 

通話料金やSMSが有料

楽天モバイルではRakuten Linkアプリを使った音声通話は無料でしたが、合理的シンプル290プランでは有料で、11円/30秒がかかります。
 
音声通話をよく利用する方はオプションの無料通話オプションをつけるか、ほかのキャリアを選んだほうがいいでしょう。
 
ただ、Rakuten Linkもすべての通話が無料というわけではなく、ナビダイヤル(0570で始まる番号)などは有料でした。
 
また、通話についてはIP電話を利用するなど安くする方法がありますので、通話料だけを理由に合理的シンプル290プランを選ばないのはもったいないかもしれません。
 
SMSについては楽天モバイルでもiPhoneユーザーは有料なので、iPhoneを使っていれば変わりありません。

 

現状5G通信に非対応

合理的シンプル290プランは現状、5G通信に対応していません。
 
筆者は現状iPhone XRを使用しているので問題ありませんが、5G通信対応端末を使っている方は注意してください。

 

留守番電話機能が有料

楽天モバイルでは無料で使えた留守番電話機能が、日本通信SIMでは月額330円の有料オプションになっています。
 
合理的シンプル290プランの月額基本料金以上の費用が必要であることは覚えておいてください。

楽天モバイルからのMNP先として合理的シンプル290プランは有力候補

実際に楽天モバイルから日本通信SIMの合理的シンプル290プランにMNPをおこない、有料化される楽天モバイルからのMNP先として合理的シンプル290プランは有力な候補になると感じました
 
何より料金が安いですし、ドコモのアンテナ網を利用できるので電波の入りも楽天モバイルより改善されます。
 
ただ、通信速度が遅かったり、通話料金が有料になったりと、デメリットもあることには注意してください。
 
また、日本通信SIMのeSIMは手続きに手数料がかかり、申し込みの際も他社のようにeKYCを利用して申し込み期間を短縮することができないため、現状ではeSIMの選択はあまりおすすめできません。
 
eSIMについては今後手数料を無料にするなど、改善されることを望みます。

 
 
Source: 日本通信SIM, 楽天モバイル
(ハウザー)

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この記事を書いた人

本職はSoCの設計者。このためPCやスマホのHW/SW両方に造詣が深く、その知見に基づいた記事を執筆している。スマホ歴はiPhone4→(Android)→iPhone XR→13 Pro。

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