iPhone13の性能は過去最高~でもSoCであるAシリーズの性能アップ幅は減少傾向

AppleはiPhoneシリーズに搭載するシステム・オン・チップ(SoC)であるAシリーズを独自開発し、年々性能を向上させています。
本日発売開始となるiPhone13シリーズにもA15 Bionicが搭載され、過去最高の性能となりました。しかしながら、Aシリーズの性能アップ幅は近年減少傾向にあるようです。
減少傾向にあるiPhoneの性能向上率
これは調査会社のCreative Strategiesがおこなったものです。
各世代のiPhoneのシングルコア性能を棒グラフに、前世代に対する性能向上率を折れ線グラフにすると以下のようになります。
iPhone6sでは前世代比約70%の性能向上率を達成しましたが、最新のiPhone13のA15 BionicではA14 Bionicに対して約11%の性能向上となりました。
毎年着実に性能向上しているものの、その性能向上率は年々下がっていることが見て取れます。
特にiPhone13の性能向上率が低いですが、これはA15 BionicがA14 Bionicと同じ5nmプロセスを採用しており、大幅にトランジスタ数を増加させることができなかったためと思われます。
また、CPU関連のエンジニアの離職も影響しているかもしれません。
3年~4年ごとに買い替えると大きな性能向上を体感できる?
Creative Strategiesのアナリストであるベン・バジャリン氏は、3年~4年ごとにiPhoneを買い替えると大きな性能向上が体感できるとしています。
今年のiPhone13では3年前の機種はiPhone XS/XRですが、iPhone XS/XRに対してiPhone13は91%性能が向上しています。
多くの消費者は現在使用しているデバイスが遅いと感じたときにアップグレードする傾向にあるといいますが、毎年買い替えると小さな性能向上しか体感できないかもしれません。
これに対して、3年~4年の周期でアップグレードすると性能向上率が大きく、大きな差を体感できるとしています。
A15 BionicはCPU性能よりもGPU性能を優先
また、バジャリン氏は、A15 BionicはA9以来、前年同期比でもっともGPU性能を向上させているとしています。
過去5年間、AppleのGPU性能の向上率は平均19%でしたが、A15 Bionicでは52%の向上であったとのことです。
CPUよりもGPUの性能を意図的に向上させたことは、AppleがiPhone13で想定していた、マクロ写真やマクロ動画、シネマティックモードなどのより高度なグラフィック機能を実現するためであると考えられます。
また、アプリ開発者も、GPUの性能が飛躍的に向上したことで、新しいアプリケーションを自由に生み出すことができるようになり、拡張現実(AR)技術やビジュアルコンピューティング、AIなどを活用できるようになるとしています。
Source: Creative Strategies via 9to5Mac
Photo: Apple
(ハウザー)