Appleはカメラ企業に変貌しつつある~iPhone11で方針が明確に

iphon11 pro カメラ スペシャルイベント


 
Appleはカメラ企業に変貌しつつある――いささかセンセーショナルなタイトルの記事を米CNBCが公開しました。iPhone11 Pro/Pro Maxで、AppleはiPhone史上初のトリプルカメラの領域へと足を踏み入れました。しかしCNBCがAppleを「カメラ企業」とまで呼ぶのは、単にレンズの数が2つから3つになったからではありません。iPhoneカメラに対する、Appleの力の入れようです。

新iPhoneシリーズのカメラだけで計20分

iPhone11シリーズは「スマートフォンというよりカメラだ」とCNBCは述べます。これまでもiPhoneのカメラ性能は多くの消費者を魅了してきましたし、Appleもカメラ性能をウリにしてきました。しかし今回のカメラは違う、と少なくないアナリストが見ています。
 
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実際Appleは、100分の記者発表会でiPhone11 Proのカメラを説明するのに13分の時間を割きました。これはApple Arcade、Apple TV+、新型iPadよりも長い時間です。Apple Watch Series 5は16分ですが、iPhone11のカメラの7分と合わせれば、新iPhoneのカメラだけで20分を要したことになります。

消費者はカメラの性能を気にかけている

調査企業Gartnerのアナリスト、アンネット・ジマーマン氏が「消費者が相変わらず最も気にかけており、イノベーションを期待しているのはカメラなのだ」と述べるまでもなく、スマートフォン企業はカメラ性能をアピールすることに余念がありません。
 
演算処理能力が毎秒6,000億回だったA12 Bionicチップから、iPhone11シリーズのA13 Bionicでは毎秒1兆回へと進化したと言われたところで、消費者にとってはピンと来ないでしょう。しかしカメラであれば、専門知識がなくとも良し悪しが分かります。
 
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Forresterのアナリストであるジュリー・アスク氏も「より良いカメラを求めて消費者はアップグレードする」と説明します。そういった意味で、SNSで“蓮コラ”“IH調理器”とトリプルカメラの形状が大きな話題になったことは、「Appleのカメラが従来とは異なる」といった認識を消費者に植え付けるのに成功したと言えるでしょう。

機械学習を積極的にカメラへ取り込んだ

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デュアルカメラからトリプルカメラになったことだけが革新的なのではありません。アナリストのニール・サイバート氏は、Appleが機械学習をカメラへ積極的に採り入れたことで、ライバル企業のスマートフォンと比較しても引けを取らない端末になったと指摘します。
 
ナイトモード」は、カメラの革新ぶりを示す典型例でしょう。
 
ナイトモード
 
暗がりでも明るさを損なわずに撮影ができる同機能は、異なるフレーム同士を組み合わせて画素やノイズを最適化、シャープな写真を可能にしています。この仕組みは、すでにGoogleがPixel 3シリーズで「Night Sight」モードとして採用していますが、iPhone11シリーズは高い処理能力を持つA13 Bionicチップのおかげで、違和感のない自然な仕上がりになっていると評判です。
 
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他にも、Appleは「Deep Fusion」なるメカニズムをカメラに採用することが分かっています(イベントでは年内の提供が予告された)。
 
これは撮影の際、最大9枚分の画像で画素を解析(シャッターボタンを押す前に計8枚)、それぞれの画素を機械学習で組み合わせて画質を向上させる仕組みで、iPhoneのカメラ性能を大きく底上げするのに一役買っています。いずれもA13 Bionicチップの性能が遺憾なく発揮されています。
 
こうしたAppleのカメラ戦略がうまく行っているのか、iPhone11 Proシリーズは当初予想されていたよりも売れ行きが良いとする見方も出ています。
 
 
Source:CNBC
(kihachi)
 
 

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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