今年のiPhone販売収益に警戒強めるアナリストも~変化が少ないことが理由
2019年秋に登場するiPhoneシリーズはカメラレンズの数こそ増えるものの、デザインに大きな変化はないと考えられています。そのため、iPhoneは発売が近づくと強気な観測が複数アナリストから登場するのが常ですが、今年は慎重な態度を採るアナリストも少なくありません。
代わり映えしないデザインが原因
野村証券は投資家向けに公開したレポートで、2019年第4四半期(10月~12月)のiPhone販売収益に対して警戒感を強めています。理由は細かな機能向上こそあれど、デザインが代わり映えしないことです。
今年登場するiPhoneは上位2モデル(iPhone XS/XS Maxの後継機)がトリプルカメラ(望遠+広角+超広角)、廉価版(iPhone XRの後継機)がデュアルカメラとなる見込みですが、それぞれの端末にメインカメラのレンズが1つ増えただけとも言えます。
インカメラの穴だけが開いた「Inifinity-O」ディスプレイを新たに採用したSamsungのGalaxy S10/Note10と異なり、iPhoneのノッチ(切り欠き)デザインは今年も継続する見込みです。
利益見通しを下方修正
こうした予測を踏まえて野村証券は、第4四半期におけるAppleの一株当たり利益見通しを、従来の4.59ドル(約482円)から4.30ドル(約452円)へと約6.4%下方修正しました。これはウォール街の複数アナリストによる市場コンセンサスの4.77ドル(約501円)よりも10%近く低い数字です。
これは、iPhoneの出荷台数こそ市場コンセンサスと同じ1億8,600万台ですが、平均販売価格が745ドル(約78,230円)と、市場コンセンサスの749ドル(約78,650円)よりも低く見積もっていることが関係しています。
つまり、多くのアナリストの予測とは異なり、消費者は上位2モデルではなく廉価版や2018年以前のモデルの方に食指を動かすだろう、というのが野村証券の見方です。
5G対応iPhone登場でも楽観視できず
著名アナリストのミンチー・クオ氏は、2020年に登場するiPhoneが3モデルとも5Gに対応すると予測しています。この2020年度iPhoneについても、野村証券は「5G対応モデルに対して市場は楽観的すぎる」と指摘しています。
積極的に買い替えを促してAppleの株価上昇に大きく寄与するまでには至らないのではないか、というのが野村証券の言い分ですが、確かに調査会社Strategy Analyticsが先日公開した調査でも、5G技術を重要な技術だと4人に1人が認識していた一方で、価格の高さを気にして購入を尻込みする傾向が見られました。
野村証券はAppleの目標株価を185ドル(約19,400円:8/29終値は209ドル)に設定しています。
Source:Barron’s,AppleInsider
Photo:Twitter-Ben Geskin
(kihachi)