スマートフォンの買い替えサイクル、全米で33カ月まで延長

iPhone XRを発表するティム・クックCEO

iPhone XRを発表するティム・クックCEO
 
調査会社Strategy Analyticsは22日、米国でスマートフォンの買い替えサイクルが3年を超えているとのレポートを発表しました。また買い替えまでの期間が延びることと、端末の性能向上には関係があるとされていますが、今回の調査ではiPhoneやGalaxyシリーズといったハイエンドモデルの平均アクティブ期間が、スマートフォン全体の買い替えサイクルより短いことも明らかになりました。

iPhoneやGalaxyシリーズはアクティブ期間が短い

今回の調査は、18歳〜64歳のスマートフォン所有者2,500名を対象に米国で実施されました。
 
数年前まではおよそ2年(24カ月)と考えられていたスマートフォンの買い替えサイクルですが、今回の調査では33カ月(2年9カ月)まで延長しました。一方で、iPhoneがアクティブになっている期間は平均して18カ月、SamsungのGalaxyシリーズは16.5カ月と、ともにサイクルよりも短いことが判明しました。
 
以前、投資顧問会社Bernsteinのアナリストが「iPhoneの買い替えサイクルは2019年度に4年へと延びる」と予測していたことを思えば、米国内のみの調査とはいえ、18カ月(1年6カ月)という短いアクティブ期間は興味深い数値と言えるでしょう。

厄介な“プレミアム”層をどう扱うか

iPhoneやGalaxyシリーズといったハイエンドモデルの端末アクティブ期間が平均以下であることは、ローエンド〜ミッドレンジモデルの買い替えサイクルが、ハイエンドモデルよりも長いことが考えられます。
 
ただし33カ月に延びた理由の一因は、AppleやSamsungの端末を購入するユーザーが購入を躊躇っていることにもあるようです。1,000ドル(約10万5,000円)を超える価格をスマートフォンに支払う“プレミアム”層は全体の7%しか占めていませんが、高額な端末を購入してくれるばかりか、ロイヤリティも非常に高い彼らが市場の牽引役であることは明らかです。
 
Strategy Analyticsのデビッド・カー副社長は、スマートフォンに対して目新しさの欠如を消費者が感じており、次世代のフラッグシップモデルに対する限界価値(新しい端末に払ってもいいと思っている価値)が高まっていると指摘します。
 
とはいえ、彼らを驚かせるばかりか購入まで結びつけるような製品を市場に送り込むのは容易なことではありません。調査では、5G技術を重要な技術だと4人に1人が認識していた一方、5G対応端末の価格が購入の障壁になっていることも明らかになりました。つまり、AppleやSamsungの主要顧客は「もはや多少の技術では驚かないし、高額な価格に対しても及び腰」なのです。

活路はカメラ性能のアピールにあり?

では、スマートフォン企業は八方塞がりなのか――。
 
Strategy Analyticsが示したデータからは手がかりも窺えます。カメラの機能や品質が、女性や“Gen Z(18歳〜24歳)”と呼ばれる若年層で極めて重要視されていたのです。つまり、どの角度から見ても“最先端”といえる高額なプレミアム端末で消費者の注目を集めようとするのではなく、カメラの性能を大々的にアピールしたコストパフォーマンスに優れた端末を展開していくことに活路が見いだせるのではないか、というわけです。
 
SamsungとXiaomiが6,400万画素1億800万画素のスマートフォン向けカメラを開発していますが、彼らが画素数という消費者に訴えかけやすい数値にこだわる背景には、こうした事情が関係しているのかも知れません。
 
 
Source:Strategy Analytics
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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