総務省、次の標的はデータ通信の「カウントフリー」、業界に「自主規制」求める
総務省が、YouTubeなど特定のサービスについてデータ通信量を無料にする料金プランを「自主規制」するよう、通信業界に求める方針と共同通信が報じています。プラットフォーマー企業への過度な優遇に当たるとの判断によるものとされています。
データ通信「カウントフリー」を「自主規制」
総務省が、通信業界に「自主規制」を求めるのは、YouTubeなど特定サービスの通信データ量を、利用可能なデータ量から除外する「カウントフリー」などと呼ばれる料金プランです。
ソフトバンクの大容量プラン「ウルトラギガモンスター+」では、YouTubeやAbema TV、TVer、huluなどの動画配信サービスやFacebookやTwitterなどSNSのデータ通信量を無料にしています。
低料金のMVNO各社でも、OCNモバイルONE、BIGLOBEモバイル、LINEモバイルなどが指定サービスのデータ通信量をカウントしないプランを提供、「エンタメ系プラン」として人気を得ています。
特定サービスの無料化は巨大IT企業優遇に
共同通信によると、総務省が自主規制を求める理由は、特定のサービスの通信料金を無料にすることが、プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業を過度に優遇することになり、公平な競争を妨げるおそれがある、という考えによるものです。
特定サイトの優遇的取り扱いは、アメリカで以前議論となった「インターネット中立性」の問題とも関連していると考えられます。
総務省は2018年11月、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)を対象としてプライバシー保護についての意見聴取も行なっています。
携帯業界への関与を加速する総務省
総務省は、携帯キャリア各社の料金や契約形態についての関与を強めており、特に昨年の菅官房長官による「4割値下げ」発言以降はその流れが加速しています。
今回、総務省は「自主規制」を求めていますが、監督省庁主導であれば一般的な「規制」と何が違うのか、という議論も起こりそうです。
総務省の有識者会議は、端末代金と通信料金の完全分離、販売代理店の登録制などの法改正を含めた緊急提言の案を出し、パブリックコメントを経て、1月に緊急提言が取りまとめられています。
一方で、総務省が次々に打ち出す方針によってユーザーの負担額が軽くなったとの実感が薄く、パブリックコメントでもユーザーから総務省に批判的な反応もみられます。
また、2月初めには、総務省の有識者会議メンバーがNTTドコモやKDDIから4,330万円の寄付金を受け取っていたと報道されています。
Source:共同通信
(hato)