Macをこれまでずっと使い続けた私が二度と新しいモデルを買わない理由
1986年生まれで、1986年に製造されたMacintosh 512KeからMacをずっと使ってきた生粋のMacユーザーが、今後Macを購入することはないと宣言しました。その理由とはいったい何なのでしょうか?
破産寸前だったApple
クリストファー・カーリー氏はまずAppleの歴史から語り始めました。2018年の上半期の時点で世界で一番大きなテック企業となったAppleですが、1997年の時点では破産寸前の状態にありました。
しかしながら1998年のiMacで体制を立て直したAppleは、2007年にiPhoneで一世を風靡(ふうび)します。
カーリー氏は、2007年は同氏にとって始まりと同時に終わりの年であったと語ります。カーリー氏はiPhone、iPad、MacBook Proを以来ずっと使い続けてきました。
MacBook Airの登場
2008年に登場したMacBook Airは、現在のノートパソコンの流れを作ったともいわれ、非常にスリムなデザインが話題を呼びました。しかしながら、RAM(メモリ)がロジックボードにはんだ付けされており、交換できない仕様となっていました。またバッテリーの交換も非常に難しく、特殊なツールと19本ものねじを外す必要がありました。
これはこれまでのMacにはなかった現象だった、とカーリー氏は振り返ります。メモリのアップグレードやバッテリーの交換は、最も一般的な改造だったからです。
2008年のMacBook Airの登場から、ユーザーが自分で修理するのではなく、Genius(Apple Storeに設置されているサポートカウンター)に持っていかなければならなくなりました。
修理する権利
MacBook Airが登場した当初はカーリー氏も浮かれていたと語ります。世界で最も薄いノートパソコンだったからです。
しかしながら、2012年のRetinaディスプレイ搭載MacBook Proでも修理しにくいトレンドは続きました。はんだ付けのされ方と、接着剤が多用されていたことなどを考慮し、デバイスの分解で知られるiFixitは10点満点中1のスコアをつけました。
MacBook Proのラインは、パワフルであり、アップグレード可能なことが特徴でしたが、2011年のMacBook Proが修理のしやすさで10点満点中7を獲得したのを最後に、スコアは最高2までにとどまっています。
2016年のTouch Bar付きのMacBook Proは、RAM、ハードドライブ、VRAM、バッテリーの交換が非常に困難で、Gizmodoが「アップグレードへの宣戦布告」と表現したほどです。
以前は驚くほどモジュール式だったMac
カーリー氏はiFixitの分解エンジニアのテイラー・ディクソン氏に意見を求めたところ、思った通りの答えが返ってきました。
「初期のPowerBookや、後に最初のMac ProとなったPower Macは、驚くほどモジュール式であった」とディクソン氏は語りました。「それゆえAppleはパワフルかつアップグレード可能との評判を得た」
今のMacBookは異なる、と同氏は続けます。
「今修理が可能なのは、ロジックボードにつながっていない部品だけだ。多くのパーツは難しくなっている」
問題のあったバタフライキーボード
Appleが無料での修理サービスを提供する至ったMacBookのバタフライキーボードは、デバイスのスリム化を図るあまり、ホコリに弱いデザインとなってしまったことが原因でした。
キー底にシリコン膜を取り付け、改善が試みられた第3世代のバタフライキーボードも根本的な問題の解決には至っていないとされています。
T2セキュリティチップ
セキュリティチップは聞こえは良いですが、パーツへのアクセスを制限し、誰が修理できるのかをコントロールしようとするのが目的である、とiFixitのカイル・ヴィーンズ氏は語ります。
AppleはT2セキュリティチップにサードパーティー修理を防ぐ機能があることを認めており、ロジックボードやTouch IDセンサーの交換を行った後、診断ツールが起動され、正規サービスプロバイダによって修理が行われたかどうかを確かめるプロセスが実施されるといわれています。
カーリー氏の結論は?
カーリー氏は、倹約、そして電子ゴミを減らすため、ちょっとした修繕や修理ができないようなものは所有したくない、と結論づけています。
Apple元CEOのスカリー氏は「今のAppleはラグジュアリーブランドのよう」と述べましたが、カーリー氏も同様の意見を持っているようです。
Source:Business Insider
Photo:Apple, Marcin Wichary/Flickr
(lexi)