iPad mini(OLED)の価格抑制期待薄〜Appleの希望ではない製造装置導入
iPhone SE(第4世代)向け有機EL(OLED)のディスプレイの受注が確実視されている中国BOEですが、将来的にiPad miniやiPad Airが搭載する見込みの第8世代OLEDディスプレイパネル製造に用いる蒸着装置について、Appleが高く評価するキヤノントッキの蒸着装置の導入を見合わせたようです。
Appleが好んでいると噂のキヤノントッキの関係者を起工式に招待
BOEが整備中の第8世代OLEDディスプレイパネル製造ラインに設置する蒸着装置は、キヤノントッキと韓国Sunic Systemのどちらにするかを検討していたようですが、最終的にSunic Systemに発注した模様です。
Appleはキヤノントッキの蒸着装置を好んでいることから、BOEが製造ライン建設の起工式に同社を招待したのは「検討している姿勢を示す」目的を兼ねたAppleに対するアリバイ作りだったか、卸価格で折り合えない場合は先行ラインにSunic Systemの蒸着装置を導入し、キヤノントッキに卸価格値下げの圧力をかける目的が含まれていたのかもしれません。
ただし、キヤノントッキ自身もこの商談にそれほど乗り気ではなかったとの噂もありますので、Sunic Systemの蒸着装置を買うしかなかったという可能性もあります。
歩留まり率が向上した後にキヤノントッキの蒸着装置導入か
BOEがこのままSunic Systemの蒸着装置を用いて第8世代OLEDディスプレイパネルを製造する場合、量産開始後すぐにAppleに供給することはせずに、まずは中国ベンダー向けで実績を積むことを検討しているとも考えられます。
その場合、この製造ラインの歩留まり率が向上した後、改めてiPadやMacBook用OLEDディスプレイの受注に向けてキヤノントッキの蒸着装置を設置し、Appleの品質試験を受けることも合理的でしょう。
iPhone SE(第4世代)向けOLEDディスプレイ受注が確実視されるBOE
AppleはiPadとMacBookのディスプレイをOLEDディスプレイに切り替えることを計画しているとみられており、その第1弾が新型iPad Proになる見込みです。
新型iPad Proには、LG DisplayとSamsung Displayが製造する2段スタック型ハイブリッドOLEDディスプレイが搭載されますが、iPhone向けと同じ第6世代OLEDディスプレイパネルを用いるため部品価格を押し上げる要素となっています。
そのため、iPad miniとiPad Air、MacBook Airに搭載するOLEDディスプレイパネルは1段スタック型リジッドOLEDディスプレイパネルを採用する可能性が高いとみられています。
BOEからAppleへの卸価格はSamsung DisplayやLG Displayよりも安く、それが大きな理由となってiPhone SE(第4世代)向けOLEDディスプレイを受注したとの情報(噂)もありますので、OLEDディスプレイを搭載するiPad miniとiPad Air、MacBook Airの販売価格抑制について同社には大きな期待が寄せられています。
Source:The Elec
Photo:Apple Hub(@theapplehub)/X