iPhoneを持っていないと仲間外れになる〜米Z世代で特に顕著に

    iMessage と SMS/MMS の違いについて

    iMessage と SMS/MMS の違いについて
     
    1996年以降に生まれた若者を総称する「Z世代(Gen Z)」の多くが、iPhoneを持っていないと疎外感を味わったり、仲間外れにされるのではという恐怖感を抱いたりしていることが、複数の調査から明らかになりました。

    年々増大するZ世代におけるiPhoneの存在感

    アドテクデータプラットフォームであるAttainの最新データによれば、米国のZ世代におけるiPhoneの所有率は34%、Samsung製スマートフォンの所有率は10%でした。Samsungは米国ではシェア2位のブランドのはずなので、その他Androidスマホのシェアは一桁台だということになります。
     
    調査会社Counterpointによると、米国全体でのiPhoneのシェアは2019年の35%から2022年には50%へと上昇しており、この上昇分に大きく貢献しているのが若い世代だと、Financial Timesは分析しています。
     
    そしてZ世代はほかの年代と比べ、1日にスマホに費やす時間が最大6時間と最も多く、アメリカの若者のデジタルソーシャルライフにおけるiPhoneの存在感が年々増していると、研究者らは見ています。

    緑の吹き出し問題

    ではZ世代はどのような時にiPhoneを持つ必要性を感じるのでしょうか。その代表的な例といえるのが、iMessageです。
     
    iMessageはApple独自のメッセージシステムであり、iPhone同士であれば画像や音声も送信可能ですが、Androidスマホ相手だと自動的にSMSやMMSでの通信に切り替わり、既読確認やファイル転送などができなくなります。つまり使える機能が制限されてしまうのです。
     
    またグループチャットにおいて、全員がiPhoneユーザーであればiMessageが使えますが、Androidスマホユーザーがいれば、SMSまたはMMSでのチャットを余儀なくされます。そのためZ世代のなかには、グループチャットにAndroidスマホユーザーが混ざることを嫌がるiPhoneユーザーもいるのだそうです。
     
    そしてiMessageアプリにおいては、iPhone、つまりiMessageからのメッセージは青い吹き出しで表示されますが、Androidからのものは緑の吹き出しで表示されるため、誰がiPhoneを使っていて誰がAndroidスマホを使っているかがひとめでわかります。

    想像以上に大きい!iPhoneを持たないことへのプレッシャー

    若者世代におけるiPhoneを持たないことへの社会的プレッシャーは想像以上に大きいようです。
     
    アメリカの大学生の間で、グループチャットのやりとりでiPhoneのiMessageを使っていないと仲間外れにされるという同調圧力の問題については、2022年1月にThe Wall Street Journalも報じていました。

     
    TikTokでは”He’s a 10 but…”(彼は10点満点。でもね…)というフレーズが女性ユーザーの間で広まったことがありました。
     
    その流れであるユーザーが、「10点満点の完璧な彼がAndroidを使ってることがわかったら何点にする?」との問いを投げかけたところ、女性ユーザーたちから「5点以下に減点する」「つきあわない」といったコメントが相次ぎました。なかには「緑の吹き出しが表示されたら返信しない」との書き込みもあったそうです。
     
    iPhone所有への同調圧力はアメリカで特に顕著ですが、欧州などその他の地域でもその傾向は見られると、調査会社のCanalysが記しています。

    Google、RCS採用をAppleに要求

    GoogleはAppleが吹き出しを色分けしていることを以前から批判しており、古い規格であるSMS/MMSを使うのではなく、その後継である新しい業界標準のRich Communicatioin Services(RCS)をiMessageでも採用すべきだと主張しています。

     
    2022年6月にリリースされたDrakeによる恋人との関係の終わりを歌った曲「Text Go Grenn(テキストが緑になる)」(恋人がiMessageを使わなくなったことを示唆)にGoogleが便乗、Appleを批判したこともありました。

    AppleがRCSを採用する可能性は低い

    iMessageについてAppleは、同社のエコシステムにユーザーを囲い込むためのセールスポイントだと考えている向きもあり、GoogleからのRCSメッセージングシステム採用を促す批判や要求にも当面応えるつもりはないようです。
     
    実際、iPhoneを所有しているユーザーはiPad、Apple Watch、Mac、AirPodsといったその他Appleデバイスを購入する傾向にあるため、Appleが同社にとってそれほどメリットのないRCSメッセージングシステムにあえて対応する可能性は低そうです。

     
     
    Source:Financial Times
    Photo:Apple
    (lunatic)

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    この記事を書いた人

    元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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