Appleが春に発表予定の複合現実ヘッドセット、販売計画が弱気な理由

    Apple View Antonio De Rosa

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    Appleが2023年春に発表し、秋に販売を開始すると噂の複合現実(MR)ヘッドセットReality Proについて、Appleの販売計画はかなり弱気なようだ、とBloombergのマーク・ガーマン記者がニュースレターPower Onで伝えています。

    キラーアプリがない

    Reality Pro」と噂されるAppleのMRヘッドセットは、すでにOSの開発が完了しており、6月の世界開発者会議(WWDC23)での発表が近づいている現在もなお、人々を惹きつける「キラーアプリ」が見つけられずにいる、とマーク・ガーマン氏は指摘しています。
     
    Appleは「Reality Pro」に、没入感のある映像視聴、Apple製品との緊密な連携、仮想現実(VR)技術を活かしたFaceTime通話といった機能に期待しているようだと伝えつつ、ガーマン氏はこれらの方針がうまくいくか疑問だ、と懐疑的です。

    市場の準備もできていない

    これまで、Appleが新たなカテゴリーの製品を投入する時、消費者の関心や理解が十分に得られることが多かった、とガーマン氏は指摘しています。
     
    iPodの投入当時、市場はデジタル音楽プレーヤーに関心が高まっていました。初代iPhoneは、皆が持っている携帯電話を大きく進化させ、iPadもPCの代替か娯楽用デバイスとして市場が受け入れる準備ができていました。
     
    しかし、MRヘッドセットの市場はまだ未熟であり、消費者に受け入れられる準備が整っていない、と考えられます。

    初年度販売計画はたったの100万台

    Appleの内部計画では、Reality Proの初年度販売計画は100万台で、この数字はAppleが同デバイスの販売をかなり弱気に見ていることをしめしている、とガーマン氏は伝えています。
     
    初代iPhoneは、発売から1カ月で100万台が、発売2年目には1,000万台が売れました。iPadは発売から28日で100万台が売れ、発売後8カ月で1,500万台が売れています。
     
    2015年発売のApple Watchは、用途があまり明確ではなく、動作は遅かったものの、健康と通知という特徴がユーザーの関心を集め、発売から1年間で1,000万台が売れました
     
    これらの製品と比較すると、AppleがReality Proの売れ行きにかなり悲観的であることが分かります。

    Reality Proは開発者向けのプロトタイプ?

    ガーマン氏は、3,000ドル(約39万円)といわれるReality Proは一般的な消費者向けではなく、ソフトウェア発者向けのプロトタイプ的な位置付けの製品であり、今後、より低価格で実用的な製品が登場するだろうと推測しています。

     
    Appleは、iPhoneと同程度と比較的手を出しやすい価格のMRヘッドセットも開発を進めていると伝えられています。
     
    しかし、機能を拡張現実(AR)に絞り込んだ普及価格帯のメガネ型デバイスについては、開発が大幅に延期されたと報じられています。
     
    AppleのMRヘッドセットが本格的に普及するのは、比較的購入しやすい価格帯の製品で、魅力的なアプリが動作する数年後、となりそうです。

    音声コマンドでのアプリ開発、心身の健康に役立つ機能を重視か

    AppleのMRヘッドセットについては最近も、音声コマンドを使ってアプリ開発ができ、心と身体の健康を支援する機能が重視されている、とThe Informationが報じています。
     
    Reality Proの発表イベントの様子を人工知能(AI)モデルのChatGPTで想像してみたという投稿も話題になっています。
     
     
    Source:Power On
    Photo:Antonio De Rosa
    (hato)

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