Apple、App Store手数料引き下げ継続など、アプリ開発者の支援を発表

Apple App Store

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Appleは現地時間8月26日、App Storeでの売上げに対する手数料引き下げを今後3年間継続することや、アプリ内課金の金額設定の自由度を高めることを含む変更を実施すると発表しました。アメリカでの集団訴訟での原告との合意を受けたもので、今後、日本にも適用される見込みです。

集団訴訟原告との和解成立に伴う対応

Appleは、App Storeにおける手数料、価格設定、開発者とユーザーのコミュニケーションに関して、大幅な変更を発表しました。
 
これらの変更は、2019年に提起された集団訴訟の原告との和解成立に対応するものです。
 
今回の変更についてAppleは「ユーザーに好評で安全、信頼できる市場であり続けながら、デベロッパにとってはさらに良いビジネスの機会を提供する場所」になる、と説明しています。

小規模開発者への7つの支援策

Appleは、App Storeにおける小規模開発者に対する支援策として、以下7つの変更を発表しています。
 
発表には、すでにAppleが実行に移している取り組みの継続も含みます。

 

1. 小規模開発者の手数料引き下げの継続

2021年1月から導入された、年間売上高100万ドル(約1億円)未満の企業の手数料を通常の30%から15%に引き下げる「App Store Small Business Program」が、今後3年間継続されます。
 
なお、手数料率の引き下げによるAppleの減収は、App Store全体の2.7%に相当する約653億円だろう、と推測されています。

 

2. App Storeにおける検索システムの維持

App Storeの検索結果表示を、今後もダウンロード数、スター評価、テキストの関連性、ユーザー行動シグナルといった客観的特性に基づく現在の検索システムが、今後3年間維持されます。
 
Appleは以前、App Storeの検索結果で自社アプリを優遇しているとの批判に対して反論していました

 

3. 開発者からユーザーへの連絡、外部での支払い

開発者は、メールなどを使ってユーザーとコミュニケーションを取ることができます。コミュニケーションにはユーザーの同意が必要で、ユーザーは拒否することもできます。
 
アプリ以外、App Store外で行われた支払いに対して、開発者はAppleに手数料を支払う必要がありません。

 

4. 価格設定の柔軟性向上

アプリやアプリ内課金の金額のプライスポイント(設定の区切り)が、現在の100未満から500以上に拡大します。
 
アプリの価格や、アプリ内課金のバリエーションが増えることで、開発者は柔軟な価格設定が可能になります。

 

5. 開発者の不服申し立て

App Storeにおけるアプリの却下(リジェクト)に対して、開発者が不服申し立てをできる選択肢が維持されます。
 
App ReviewのWebサイトに、開発者が不服申し立てのプロセスを理解するためのコンテンツが追加されます。
 
Appleは、2020年の世界開発者会議(WWDC20)で、開発者がApp Storeの審査結果に不服申し立てできるようになった、と発表しています。

 

6. 透明性を保つレポートの公開

App Storeの審査プロセスにおける透明性を確保するため、却下されたアプリの数、削除されたアプリの数、無効化されたアカウント数、検索クエリと検索結果に関する客観的データなどの統計情報を、Appleが毎年レポートとして公開します。
 
Appleは、プライバシー保護の取り組みを説明する「透明性レポート」を定期的に公開し、各国政府からの要求によるアプリ削除数などの情報を公開しています。

 

7. 小規模開発者支援の基金を設立

Appleは、世界がCOVID-19の影響下にあることを受けて、小規模な米国の開発者を支援するための基金を設立します。対象は、2015年6月4日から2021年4月26日までにアカウントを有していたカレンダー年のすべてで、全アプリの米国でのストアフロント全体での収益が100万ドル以下となる開発者です。
 
Appleは、全開発者の99%がこの条件に合致すると説明し、詳細は後日発表すると案内しています。

Apple Newsの手数料引き下げも発表

Appleは、App Storeにおける変更に先立ち、Apple Newsにおけるサブスクリプション手数料を30%から15%に引き下げる「News Partner Program」も発表しています。
 
なお、Apple Newsは2015年9月にリリースされており、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアでは利用できますが、現時点で日本でのサービスは提供されていません。
 
 
Source:Apple (1), (2)
(hato)

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この記事を書いた人

2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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