2021年はスマートスピーカー市場が前年比21%増で拡大へ
2021年は世界でスマートスピーカーの需要が飛躍的に高まる年となりそうです。調査企業Canalysによると、スマートスピーカー市場全体で出荷台数は1億6,300万台となり、前年比で21%増となる見込みです。とりわけ鍵を握るのが中国です。
いち早くコロナから回復の中国で伸び顕著
すでにAmazon EchoやGoogle Home、そしてAppleのHomePodと主要な企業のスマートスピーカーは出揃った感がありますが、市場としてはまだ開拓が始まったばかりです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からいち早く回復した中国本土では、2020年通年のスマートスピーカー出荷台数が前年比で16%増になると予測されています。再び感染者が増加傾向にある他国でも3%増となっています。
中国を中心に市場が拡大した理由として、Canalysは自宅でエンタテインメントを楽しむ機会が増えたことによるのではないか、と予測しています。言わずもがなスマートスピーカーはアシスタントとしての役割だけでなく、“スピーカー”としての役割も果たします。例えば、HomePodは空間認識機能を搭載しており、Apple TV 4Kと連動する形でホームシアター装置のように使うことができます(HomePod miniはなし)。
HomePod miniは中国で売れる?
注目が集まるのは、Appleが10月のイベントで発表したHomePod miniでしょう。
従来のHomePodが32,800円なのに対し、HomePod miniは10,800円と2万円以上低い価格となっています。
これについてCanalysのアナリストであるシンシア・チェン氏は、同価格帯のライバル製品よりも小さいことや音声アシスタントの賢さを課題とする一方、AmazonやGoogleなどの強敵不在の中国では、安価な価格を武器にアピールできる強みがあると指摘します。「99ドル(約700人民元)の価格帯は、中国の“無人地帯”には合っており、Appleのユーザー層に十分アピールできる。Appleは自宅で消費できる音楽サービスなどの取り込みを促進していく機会を逃すべきではない」
また2021年になると中国以外の国でも成長が見込めるため、2020年と比較してスマートスピーカー市場全体の出荷台数は21%増になると、Canalysは強気な予測を展開しています。
2024年までに出荷台数は倍増へ
2020年に3億2,000万台の出荷台数は、2024年までに6億4,000万台へと倍増する見込みです。
ただし市場が大きく拡大するとなれば、今のようにAppleやGoogle、Amazonがプラットフォームを独占したままでは居られないでしょう。Canalysのアナリストも「スマートアシスタントのエコシステムはサードパーティーのデベロッパーや、ハードウェアベンダー、サービスプロバイダーにサポートされる必要がある」と述べています。
実際、AppleはWWDCでHomePodを将来的にはサードパーティーに開放するとし、SpotifyもApple Musicと肩を並べることができるようになる可能性を示唆しました。こうした流れは、巨大テック企業の市場独占に対する認知が広まることで、さらに加速していくと考えられます。
Source:Canalys via MacRumors
(kihachi)