Apple Watchの血中酸素濃度測定はFDA未承認〜使用目的は医療用ではない
Apple Watch Series 6に搭載された血中酸素濃度測定機能「血中酸素ウェルネス」は、心電図アプリのように米国食品医薬品局(FDA)の医療機器認可を取得していません。その理由は、本機能の使用目的が「ウェルネス、楽しみや、より良い生活のため」であり、診断に用いられることを意図していないからだとThe Vergeが説明しています。
心電図アプリはFDAの認可を取得しているが
心電図アプリは、FDAの医療機器認可を取得しています。Appleは、心電図アプリを用いた大規模スタディ「Apple Heart Study」を行い、Apple Watchに搭載された1誘導心電図測定機能「心電図アプリ」が異常心電図や心室細動の検出に有効であることを確認し、FDAに申請を行い、医療機器としての認可を取得しました。
心電図アプリは医療機器として取り扱われることになったため、有効化する場合には各国の規制に応じた医療機器としての認可・承認を取得しなければなりません。
対して、血中酸素ウェルネスはFDAの医療機器認可を取得していません。
消費者を混乱させるとの懸念
血中酸素濃度(血中酸素飽和度)測定機能をパルスオキシメーターと同様のものと謳う場合、FDAでクラスⅡ医療機器としての認可を受けなければなりません。そのためにはパルスオキシメーターと同様に動作し、同程度の精度を有すると証明する文書の提出・申請が必要になります。
しかし、「使用目的はウェルネス、楽しみや、より良い生活のため」が目的の場合は、FDAへの申請は不要です。The Vergeは、Appleが「血中酸素ウェルネスは、医療での使用や医師との相談または診断を目的としたものではなく、一般的なウェルネスとフィットネスのためだけに使えます」と説明しているのもそのためだと記しています。
これらの違いは消費者にはわかりにくく、「測定誤差が大きいと報告されている血中酸素ウェルネスによって、消費者に対し混乱を招く(自身の病気を疑い、医療機関を受診する)可能性が高い」と、米ヴァンダービルト大学の公衆衛生の専門家、マイケル・マセニー氏は述べています。
Appleは、血中酸素ウェルネスを用いた新型コロナウイルス感染症の早期発見を目的とした研究を、米スタンフォード大学と共同で行う見通しですが、有用な研究結果が得られた場合、FDAに医療機器としての認可申請を行うのか注目したいとThe Vergeは記しています。
※Apple Watchの血中酸素ウェルネスアプリの測定値は、自己診断または医師との相談を含む医療での使用を目的とするものではなく、一般的なフィットネスとウェルネスのみを目的としています。
Source:The Verge
Photo:Apple Hub/Twitter
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