Appleのスペシャルイベント、投資のプロたちの目にはどう映ったか
Appleのスペシャルイベントから一夜明け、投資銀行や証券会社のアナリストたちが早速レポートを公開しています。独自の予測をもとに投資やアドバイスを行う専門家たちは一体、今回のイベントをどう受け止めたのでしょうか。
“ポジティブサプライズ”で好感触
「iPhoneのカメラがトリプルカメラになること以外、大した驚きはないだろう」と思われていたスペシャルイベントでしたが、蓋を開けてみると驚きの連続でした。iPhoneについて言えば、据え置きと見られていた価格が前モデルから値下がりしたほか、バッテリー駆動時間が大幅に向上しました。
Apple TV+の月額料金も4.99ドル(約530円:日本では600円)と、事前に観測されていた9.99ドル(約1,070円)の半分でした。数々の“ポジティブサプライズ(予想されていなかった好材料)”を受け、各社のアナリストもイベントに対して概ね好感を抱いたようです。
JP Morgan:iPhone11の価格に注目
投資銀行JP Morganは、詳細な仕様こそ予想と「ほとんど一致していた」としたものの、iPhone XRから値下がりしたiPhone11に注目しています。
iPhone11は64GBモデルが74,800円と、iPhone XRの84,800円(iPhone11登場を受け、現時点では64,800円に値下げ)よりも低価格でリリースされました。iPhone XRはシングルカメラだったのに対し、iPhone11はデュアルカメラを採用と、カメラに着目するだけでも性能向上は一目瞭然です。それでいてiPhone11はiPhone XRよりも安価とあって、同社はiPhone11が出荷台数を牽引する役目を果たすだろう、と期待しています。
また、月額料金4.99ドルのApple TV+についても「驚かされた」と好感を寄せ、競合する他社のサービスよりも料金面で「非常に魅力的」と評価しています。
一方、アップグレード箇所がケースやディスプレイなどに集中したApple Watch Series 5について、JP Morganは「やや失望した」と評価しています。むしろ、Apple Watch Series 3を19,800円へと値下げし、幅広い価格レンジを揃えたAppleの戦略に注目しているようです。
Cowens:一番の驚きはAppleの新サービス
投資銀行Cowensは、今回のイベントで注目に値するのはiPhone11シリーズではなく、Appleの新サービスだ、と指摘します。
イベントでは、動画ストリーミングサービスApple TV+だけでなく、定額制ゲームサービスApple Arcadeの月額料金やリリース時期についても明らかにされました(ともに月額料金は600円:Apple TV+は11月1日、Apple Arcadeは9月19日よりサービス開始)。これらの魅力的な料金設定について、Cowensは「サービス部門において、一株あたり利益(EPS)の増加に寄与するだろう」と評価を下しています。
とくに指定のApple製品(iPhone、iPad、Apple TV、Mac、iPod touch)を購入すると、最大1年間Apple TV+を無料で利用できる特典に関して、Cowensは「製品需要を喚起するための新パラダイム(方式)だ」と絶賛、Appleの斬新な取り組みに期待を隠せないといった様子です。
Rosenblatt証券:iPhone XRは未だに魅力的
JP MorganとCowenはともにiPhone11の価格を素直に好感していましたが、Rosenblatt証券は少々見方を異にしています。
多くのアナリストたちの「価格は前年モデルから据え置きになる」といった予想に反し、iPhone11シリーズの価格はiPhone XSシリーズから値下がりしました。
Appleが価格を下げた一番の理由は出荷台数の増加狙いだと考えられますが、Rosenblatt証券は「2019年第3四半期(7月〜9月)は、昨年同期と比較して出荷台数がわずかに増加するだろう」といった控えめな予測に留めています。新iPhoneの売れ行きについても、同社はイベント前から一貫して「危険視」扱いとしています。
また、84,800円から64,800円に値下がりしたiPhone XRについて、消費者の目には「今まで以上に魅力的に映るはずだ」と指摘、iPhone11がリリースされてもiPhone XRの勢いが大きく衰えることはないだろう、と予測しています。
Source:AppleInsider
(kihachi)