Apple退社のアイブ氏、「ハンドルのないApple Car」を構想していた
Appleで数々のデザインを手がけてきたジョナサン・アイブ氏が、ハンドルのない自動運転車を構想していたことが分かりました。Appleは自動運転車「Apple Car」を開発しているとされています。
SiriでコントロールするApple Car
先日Appleを退社することが発表されたジョナサン・アイブ氏は、iMac、iPod、iPhone、iPadと多くのデザインを担当してきました。どれも創業者のスティーブ・ジョブズ氏が復帰してからのAppleを象徴する製品です。
そんな彼が密かにデザインを構想していたのが、Apple Carでした。
The Informationが報じたところによると、アイブ氏はプロトタイプとして様々なApple Carをデザインし、その中には素材に木材とレザーを用いた、ハンドルではなくSiriでコントロールするApple Carも含まれていたそうです。
また「Apple幹部からの音声コマンドに応答するSiriの声を担当していた女性」は、実際にSiriで自動車をコントロールするデモンストレーションがティム・クック最高経営責任者(CEO)の前で行われた、と話しています。
過去にはプロジェクトの進捗状況に苛立ち
Apple自動運転車開発プロジェクトは「Project Titan」として以前から知られていましたが、当初の「2019~2020年に発売される」予測とは裏腹に、順調に開発が進んでいるわけではないようです。一時は自動運転車の設計や製造を諦めシステム開発に尽力するとの報道もあったほか、最近ではApple Carが乗用車でなく電気商用バンになるのではないか、との見方も出ています。
プロジェクトの存続がとりわけ危ぶまれていた頃、進捗状況に業を煮やしていた幹部の1人がジョナサン・アイブ氏で、2016年には他でもない彼の意向で開発担当者の採用が中断されたとの噂も浮上しました。
“iPhoneの後継”としてAppleの主力製品になると考えられており、社運を賭けた一大プロジェクトとみる向きもあることを思うと、Apple社内で「かつてのスティーブ・ジョブズ氏のような役割を担っていた」アイブ氏が苛立ちを募らせたのも頷けます。
退社の影響は軽微か
ジョナサン・アイブ氏の退社報道こそ突然でしたが、社内では以前から念入りに引き継ぎが進められていたことが分かっています。
BuzzFeed Newsが入手したApple社員向けの内部文書では、アイブ氏がジェフ・ウィリアムズ最高執行責任者(COO)と何年も協力し、今後ウィリアムズCOOがデザインチームを陣頭指揮していく流れが綿密に築き上げられてきたとされています。
また、アイブ氏は独立してデザイン会社を立ち上げるものの、外注先として今後もAppleに関わっていくことが明らかにされており、同氏の退社がAppleに与える影響は軽微だと考えられています。
Source:MacRumors,The Information,BuzzFeed News
Photo:Motor Trend
(kihachi)