ティム・クックCEO、対中関税の影響は限定的とコメント


 
米中貿易摩擦の高まりで影響を受けるスマートフォンメーカーはHuaweiだけではありません。組み立て拠点を始めとして多くのサプライヤー(部品供給業者)を中国に抱えるAppleも、少なくない影響を受けています。そうした中、Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)はインタビューで、今のところは国際的な混乱に巻き込まれていないとの考えを示しました。

対中関税の影響は限定的

米放送局CBSのインタビューでティム・クックCEOは、プライバシーの重要性について語るとともに、米中貿易摩擦がAppleに与える影響について自身の見解を述べました。
 
トランプ米大統領は5月、これまで“聖域”とされていたApple製品を含める3,250億ドル(約35兆円)規模の製品も25%の課税対象に加えることを検討していると発表しています。すでに「アダプタや充電器、ケーブル、デバイスのケース」といったアクセサリは10%の関税(25%に引き上げることを決定)を課されてきたため、Appleとしては事態の悪化を何としても避けたい考えです。
 
しかし、これについてティム・クックCEOは最悪の未来を想定しているわけではないようです。
 
インタビューワーの「25%の関税がiPhoneに課された場合、iPhone XSのコストが160ドル(約17,280円)更に上乗せされる」との指摘に対し、クック氏は「そのような事態が起きるとは思っていない」とコメント、「世界中で作られているため」影響は限定的だと述べました。
 
また「現時点で中国はAppleを完全なターゲットにはしていない」とも述べ、Appleが米中両国の板挟みになって締め上げられる可能性は低いと予測しました。

トランプ大統領の怒りを免れている秘訣?

Appleが現時点で米中貿易摩擦による被害を大きく受けていない理由の1つに、トランプ大統領とティム・クックCEOが良好な関係を築いていることが関係しているかも知れません。
 
政治的スタンスは正反対かのように思える両者ですが、これまでにクック氏はホワイトハウスを何度か訪問し、トランプ大統領と話し合いの場を設けています。CBSのインタビューワーも、他のテクノロジー企業のCEOと異なり、クック氏はホワイトハウスと関係を結んできた珍しいCEOだと指摘します。
 
これについてクック氏は「率直に議論してきたと思う」と述べたうえで、「時に彼(トランプ大統領)が同意しないこともあった。でも私の哲学は、結局物別れに終わるとしても、真っ向から反対する意見に対して関わり続けることなんだ」と、持ち前の粘り腰をアピールしました。「『私はあなたに賛成しないし、あなたと関わりたくもない』というのは信じない」とはクック氏の弁です。「対立を止めるには対話し続けることだ」

問題は関税だけではない

ティム・クックCEOは前向きな態度を見せますが、Appleがどの程度の影響を受けるのかは掴みきれない、というのが正直なところでしょう。
 
仮に追加関税分のコストが価格に転化されるとすれば、インタビューワーが「非常に高いデバイス」と指摘するまでもなく、消費者の購買意欲が及び腰になるのは目に見えています。
 
投資銀行J. P. Morganは「AppleはiPhoneの値上げに踏み切らず、関税で上昇した分は自社で負担する可能性のほうが高い」と予測しますが、どのみちAppleの収益減少は避けられません。
 
またApple製品にかかる関税以外にも、貿易摩擦などによる中国経済の減速や、海外市場からのHuaweiの締め出しなど、影響を及ぼす要因は多岐に渡っています。
 
 
Source:CBS via AppleInsider
Photo:Twitter-CBS
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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