対中関税25%でiPhoneが大幅値上がりする可能性
米通称代表部(USTR)がトランプ大統領の指示により、これまで高い関税をかけていなかった残り約3,000億ドル(約32兆9,000億円)相当の中国製品にも、最大25%の関税をかける計画を明らかにしました。3,000億ドル分には、AppleのiPhoneなどの携帯電話やiPadなどのタブレット、Macなどのノートパソコンも含まれます。
この発表を受けてウォール街のアナリストらは、一気に値上がりする部品のコストを相殺するには、AppleはiPhoneを大幅値上げせざるを得ないと分析しています。
14%程度の値上げが必要
J. P. Morganは現地時間5月14日、顧客向けのメモに「25%の関税の影響をなくし、サプライチェーン内のすべての企業にこれまでと同様の利益が出るようにするには、14%程度の値上げが必要になるだろう」と記しました。
現在iPhone XSは米国において999ドル〜で販売されていますが、対中関税が25%になれば、小売価格は1,142ドルまで跳ね上がると同社は見積もっています。
ただしトランプ大統領は3,000億ドル相当の追加関税についてはまだ決定しておらず、USTRは6月17日にパブリックヒアリングを開き、6月24日まで反対意見を受け付けるとしています。
米国内でiPhoneを製造するというオプション
一方Bank of America Merrill Lynchは、AppleにはiPhoneの生産拠点を米国へ移転するというオプションもあると述べています。同社はAppleがiPhoneを100%米国で生産した場合、小売価格は20%程度値上がりすると見積もっています。
米国でiPhoneを製造する場合のコストの上昇幅は15〜25%であり、これを消費者に負担させるとなると需要は大幅に減退するだろう。
しかし前述のJ. P. Morganは、AppleはiPhoneの値上げに踏み切らず、関税で上昇した分は自社で負担する可能性のほうが高いとし、関税が25%となり値上げをしない場合は、iPhoneの粗利益は4%減少すると計算しています。