総務省の有識者会議、契約期間中の総支払額公開や「実質0円」広告規制求める
総務省の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」は2月22日、スマートフォンの契約期間全体での総支払額をWebに掲載すること、条件が複雑な「端末実質0円」広告の自主規制などを求める中間報告書の骨子案を公表しました。
テーマは「利用者料金」と「MVNO」
「モバイル市場の競争環境に関する研究会」は、2018年10月から、利用者に分かりやすい料金プラン、端末代金と通信料金の完全分離、MVNOの普及推進などについて議論を行っており、2018年11月には電気通信事業法の改正を含む「緊急提言」を示しています。
研究会が公開した中間報告書の骨子案には、大きく「利用者料金」と「事業者間の競争条件」の2つの事項について記されています。
「事業者間の競争条件」では、MVNO事業者が大手キャリアから回線を借りる際に支払う接続料の算定方法見直しによる、接続料引き下げなどを求めています。
2年間の総支払額をWebで比較可能に
「利用者料金」については、「2年間の契約期間のうち、最初の1年間などの期間だけ適用される割引を強調した広告によって、利用者が実際に支払う料金の総額が分かりにくくなっている」との議論を踏まえ、各社が契約期間の支払い総額をWebサイトなどに明示し、利用者が比較可能にするよう求めています。
また、総務省には、消費者保護ガイドラインの改正などの措置を取ることを求めています。
「実質0円」などの広告表現の自主規制
消費者庁が2018年11月に指摘したように、代理店による店頭広告などで「端末実質0円」や高額キャッシュバックを訴求する広告が現在も見られるほか、「端末0円」で契約するための適用条件が多いケース、分かりにくいケースが消費者保護の観点から問題がある、と指摘しています。
その上で、誤解を招きやすいなど不適切な広告表現については、業界による自主規制が必要、としています。
中古端末の流通促進
中古端末の流通促進については、端末代金と通信料金の完全分離が行われ、最新端末の価格上昇により中古端末のニーズが高まることを想定し、中古端末のSIMロック解除の推進や、利用者が中古端末を安心して売買できる制度の整備などを求めています。
なお、NTTドコモは、中古スマートフォンのSIMロック解除対応を2月20日から開始しました。これにより、端末を新品で購入した本人でなくても、中古で入手した端末のSIMロック解除が可能になっています。
電気通信事業法の改正後も定期的な状況調査
同研究会が2018年11月に提示した「緊急提言」を受けた電気通信事業法の改正後も、ユーザーが実際に負担する料金や契約条件などを、総務省が定期的に把握する仕組みの構築が必要、としています。
なお、家電量販店などの販売代理店の現場では、法改正で規制が厳しくなるのを見越した「駆け込み販売」により、最新モデル端末の安売りが行われています。
しかし、一部の代理店は大幅な値引き販売の代わりに、関連サービスの契約や商品の販売を条件としている場合もあるので、利用には注意が必要です。
Source:総務省
(hato)