「AppleはiPhoneのラジオ受信機能を解放すべき」大型ハリケーン機に米で議論
「iPhoneのモデムチップにはFMラジオ受信機能があるのだから、AppleはiPhoneでラジオを聴けるようにするべきだ」との議論がアメリカで盛り上がっています。きっかけは、8月下旬から9月初旬にかけて相次いで上陸し、大きな被害をもたらした大型ハリケーン「ハービー」「イルマ」です。
ハリケーン災害をきっかけにラジオに注目集まる
非常に大規模なハリケーン「ハービー」と「イルマ」は、アメリカ南部地域を中心に、甚大な被害をもたらしました。
Appleは、赤十字と協力してiTunesでの募金を受け付けたほか、災害によって故障した製品の無償修理を行うなどの支援を行っています。
被災地には、停電が発生し、携帯電話ネットワークもインターネットも利用不能となり、最新の気象情報を入手するのに苦労する人が続出しました。
そんな中、「iPhoneでもラジオ放送を聴けるようにするべきだ」との声が多く挙がっています。
iPhoneのチップはFMラジオ受信が可能
アメリカで販売されているスマートフォンのうち、SamsungやLG、Motorolaといったメーカーの製品は、搭載されているチップを使ってFMラジオを受信可能にしています。
一方、アメリカ国内で40%のシェアを持つiPhoneは、搭載されているIntelとQualcomm製のモデムチップにはFMラジオを受信する機能があるものの、Appleはその機能を利用可能にしていません。
Appleの姿勢に批判的な人々の中には、「iPhoneでラジオを聴けるようになったら、Apple Musicの利用者が減ることを恐れているのではないか」と推測する人も出ています。
フロリダ州知事「消費者が緊急情報を得るのにラジオが必要だ」
ハリケーンにより甚大な被害を受けたフロリダ州のビル・ネルソン州知事は、FMラジオ受信機能を持つチップを搭載したスマートフォンのメーカーは、ラジオ機能を解禁すべきだ、と主張しています。
「重要なのは、緊急事態に置かれた消費者が重要な情報を必要としている、ということだ」と強調するネルソン知事は、スマートフォンメーカーに要望書を書くことも検討しているそうです。
アメリカの通信当局トップも「iPhoneでラジオ聴けるようにすべき」
アメリカの連邦通信委員会(FCC)のアジット・パイ長官も今年2月、「AppleはiPhoneでラジオを聴けるようにするべきだ」と発言しています。
パイ長官によると、アメリカで2016年の第3四半期に販売された主要スマートフォンの44%はFMラジオを受信できるそうです。一方、44%はラジオ受信に対応したチップを搭載しているが利用不能であり、その94%がiPhoneであると指摘、メーカーや携帯電話キャリアに改善を求めたい、と語っています。
パイ長官は、Appleなどのメーカーにラジオ受信機能を強制的に義務づけることは、市場の自由に反する、としてメーカーの自主的な対応を見守る姿勢です。
【追記】Appleは、現行モデルのiPhoneではFMラジオを受信することができない理由を説明しています。