大手キャリアのユーザー囲い込み策、独占禁止法に抵触する可能性―公取委が指針まとめる

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    公正取引委員会は20日、大手キャリアが特定MVNO業者に対して自社回線の利用を拒否したり、ベンダーに対してSIMロックを強要したりすることなどが、独占禁止法に違反するおそれがあるとの指針を発表しました。

    MVNOに大幅な門戸開放

    MVNO業者に対して回線の貸し出しを拒否することは、これまでは電気通信事業法で「一定のシェアを超える通信業者(ドコモ)」のみ認められていませんでしたが、新たに公正取引委員会がまとめた指針では、auやソフトバンクといったドコモ以外の大手キャリアも拒否した場合、独占禁止法に抵触するとみなされる可能性があることが分かっています。
     
    これによって、これまでドコモの回線を中心に回ってきたMVNO業界がauやソフトバンクの回線にも広がることで活気づくとする見方もあります。
     
    しかし、2年前に総務省主導で行われた競争見直しの会合に関連して、

    どのMVNOに対しても同じ条件で提供しなければならず、その条件も柔軟性に欠ける。つまり個々のMVNOが抱く独自の要望に応じられない――だからこそ、現状のMVNOのサービス内容に大きな差が生まれないのではないか(ドコモ関係者)

    と、MVNO業者に対して平等な立場を貫かなければならないことについて、キャリアが疑問を呈していたことを思い出せば、今回もこの指摘がそのまま問題点として当てはまることとなりそうです。

    今後は総務省のほか公正取引委員会も介入

    また、公正取引委員会は新たな指針のなかで、ベンダーに対してSIMロックを強要することや、電力とのセット割で原価割れになるほどの過度な通信料金割引を行うことも、独占禁止法の違反行為になるおそれがあると述べています。
     
    ただし、SIMロックについては、昨年に発表された「SIMロック解除に関するガイドライン」で明らかにされたとおり、ユーザーの囲い込み要因となっていることは認めつつも、

    端末の割賦代金等を支払わない行為又は端末の入手のみを目的とした役務契約その他の不適切な行為を防止するために、事業者が最低限必要な期間はSIMロック解除に応じないことなど必要最小限の措置を講じることを妨げるものではない

    と、ロックそのものは否定されていない点には注意が必要です。
     
    ひとまず今回の報道に関しては、全体的にこれまで総務省の管轄でガイドラインとして定められていたものを、独占禁止法とつなげることで公正取引員会が介入可能となったといった見方が妥当でしょう。
     
     
    Source:日本経済新聞,ケータイWatch,公正取引委員会
    (kihachi)

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