Mac App StoreでChatGPTの詐欺アプリが大量に発見される

    Fake ChatGPT App

    Fake ChatGPT App
     

    ■3行で分かる、この記事のポイント
    1. Mac App Storeで、AIチャットボット「ChatGPT」の詐欺アプリが大量に出回っている。
    2. ユーザーを欺くだけでなく、正当な開発者の評判をおとし、成長を阻害するという。
    3. 対話型AIの開発競争は激化しており、GoogleとMicrosoftの競争は過熱化している。

     

    Mac App Storeにおいて、OpenAIの人工知能(AI)チャットボット「ChatGPT」の詐欺アプリが大量に出回っていることが明らかとなりました。

    ChatGPTを模倣した詐欺アプリが複数発見される

    セキュリティ研究者のアレックス・クレバー氏によると、30日間、Mac App Storeを注意深く監視した結果、ユーザーの誤解を招くOpenAIやChatGPTの名前やロゴを模倣した詐欺アプリが複数見つかったということです。また同氏は、一部の開発者がApp Storeに多数の重複するアプリをスパム送信しており、App Storeで重複アプリが氾濫し、ユーザーを混乱させ、他の開発者を締め出しているとしています。
     
    Mac App StoreでOpenAIChatGPTのキーワードで検索すると、OpenAIと同一または類似した名前やロゴを使ったアプリが表示されますが、これらのアプリのほとんどは、約束を果たさない安価な模倣品や、あからさまな詐欺に他ならないということです。また、これらの詐欺アプリはユーザーを欺くだけでなく正当な開発者の評判をおとし、MacOSプラットフォーム上のアプリエコシステムの成長を阻害するとクレバー氏は伝えています。

    詐欺アプリを提供する開発者アカウント

    クレバー氏はまた、詐欺アプリを開発していると思われる「ParallelWorld」と「Pixelsbay」という開発者アカウントに関する調査結果も共有しています。2つのアカウントのアプリのコードは99%同じで、これらの開発者はパキスタンに拠点を置くKatcoという会社のオーナーである可能性が高いことが判明したということです。
     
    これらの開発者が提供する詐欺アプリは、インターフェースもペイウォールも同じで、ペイウォールのポップアップを閉じるボタンがなく、ユーザーは購読するか、アプリを強制的に終了する必要があります。
     
    これらのChatGPTの詐欺アプリは、全てチャットボットの人気を利用して高額な料金で設定されており、開発者はそれなりの収益を得ているということです。
     
    ChatGPTはWeb上では無料で使用でき、応答時間が早く新機能などを優先的に利用できる「ChatGPT Plus」も月額20ドル(約2,700円)で提供されています。また、ChatGPTをベースとしたMicrosoftのチャットボット「Bing」や、Googleのチャットボット「Bard」も無料で利用できます。
     
    iOSやmacOSのApp Storeに存在する怪しげな名前の比較的新しいChatGPTアプリのほとんどは、約束した機能すら提供していない詐欺アプリで、その多くは週単位で購読料が発生するため注意が必要です。

    対話型AIの開発競争激化

    ChatGPTが登場したことで会話型AIの開発競争は激化しており、中でもGoogleとMicrosoftの競争は過熱化しています。現時点では、Googleが劣勢とも言える状況で、2023年4月には、Samsungがデフォルト検索エンジンをGoogleからBingへ切り替えることを検討していると報じられました。この知らせはGoogle社内を震撼させるもので、同社はMicrosoftのBingに近い検索エンジンを「Project Magi」という名のもと開発を急いでいるとされています。
     
    またAppleについては、ChatGPTのようなAIを開発中だと報じられています。
     
    AIの開発競争が激化する中、ChatGPTなどの開発を一時停止すべきとの声も挙がっています。3月には、企業は対話型AI技術の開発を半年間停止すべきだとする公開書簡が発表されましたが、Apple創業者のスティーブ・ウォズニアック氏やTwitterのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)らも書簡に署名したということです。
     
    今後さらにAI開発の競争は激化し、様々な論争や対立が起こることが予想されます。
     
     
    Source:Alex Kleber/Medium via MacRumors
    Photo:Alex Kleber/Medium
    (m7000)

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