Apple、対Epic裁判に勝利「App Storeは市場を独占していない」
■3行で分かる、この記事のポイント
1.Apple対EPIC GAMESの裁判で23日、第9巡回区控訴裁判所はEPICの訴えを退けた。
2.2021年の判決の内容を支持し、EPICの主張は概ね却下される結果に。
3.Appleは「圧倒的勝利」とし、欧州限定でサイドローディングが可能に。
AppleのApp Storeが独占禁止法に違反しているかどうかが焦点となったApple対Epic Gamesの裁判において、第9巡回区控訴裁判所は現地時間2023年4月23日、Epic側の「App Storeは独占禁止法に抵触する」との訴えを退け、2021年の地方裁判所による判決を支持しました。
前回の判決と同じく、Epicによる10項目の主張の9項目は退けられ、Appleの勝利といえる結果となっています。
「フォートナイト」に端を発した裁判
人気ゲーム「フォートナイト」の開発者であるEpicは、Appleのアプリ内課金を回避するために、外部サイトへ誘導する仕組みを設定。その行為が規約違反であるとして「フォートナイト」はApp Storeから削除されました。
Epicは外部決済を理由とするApp Storeからの削除、そしてアプリ内課金以外を認めないAppleの行為は独占禁止法違反だとしてAppleを提訴、両社は裁判で争ってきました。
Appleは「圧倒的勝利」とコメント
2021年に地方裁判所が下した判決は、Appleがアプリ外での購入という選択肢を与えないのは問題だという1点以外はAppleに有利となる内容で、EpicによるApp Storeのポリシーが独占禁止法に抵触するとの主張は退けられました。前述したようにEpicが訴えた10項目中、9項目は却下されています。
Epicはこれを不服として上告、今回の裁判となっています。
第9巡回区控訴裁判所は2021年の判決の内容を支持、Epicの主張は概ね却下される結果となりました。
米Appleはこれを「圧倒的な勝利」とし、以下のコメントを発表しました。
本日の決定は、10件の争点のうち9件がアップルに対して有利な判決がくだされたことで、この訴訟におけるアップルの圧倒的な勝利を再確認するものです。この2年間で2度目となる連邦裁判所の判決は、Appleが州および連邦レベルの独占禁止法を遵守していることを示すものです。App Storeは、競争を促進しイノベーションを促進し、機会を拡大し続け、世界中のユーザーとデベロッパーの双方に深く貢献していることを誇りに思います。私たちは、州法に基づく残る1つの請求に対する裁判所の判決には敬意をもって同意を致しません。今後さらなる検討を進めてまいります。
一方Epicのティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)は、Appleのアンチ・ステアリング行為(アプリ内課金以外の決済方法を開発者がユーザーに提示できないようにすること)を認めないという判決が下されたのは幸運だったとツイート、「次のステップに向けて動いている」とツイートしました。
Fortunately, the court's positive decision rejecting Apple's anti-steering provisions frees iOS developers to send consumers to the web to do business with them directly there. We're working on next steps.
— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic) April 24, 2023
iOS17では欧州限定でサイドローディングが可能に?
しかしAppleも、方針を徐々に変えています。たとえば以前はSafariのみだったiOSのブラウザは、他のブラウザに変更できるようになりました。また「探す」ネットワークも他社製デバイスに開放しています。
欧州においてはデジタル市場法に合わせて、次期OSであるiOS17では、App Store以外の場でのアプリダウンロード、すなわちサイドローディングを可能にする(欧州限定)とも報じられています。
Source:Bloomberg, Mark Gurman/Twitter
Photo:Apple
(lunatic)