App Storeのアプリ内課金、“Apple税”以外の選択肢認めるよう命令〜米地裁
App Storeの手数料を巡るEpic GamesとAppleとの裁判で、米国地方裁判所は10日、Appleの市場コントロール(anti-steering)行為が反競争的であると結論づけました。一方、その他の訴因については「Appleの成功は違法ではない」と述べ、独占禁止法に抵触しないとして同社に有利な判決を下しました。
選択肢を与えないのはNG
Epic GamesとAppleとの裁判を担当する、米地方裁判所のイボンヌ・ゴンザレス・ロジャーズ判事は、Appleが消費者の選択を違法に妨げていると結論付け、同社の提供するアプリ内課金以外のサービスへ誘導する外部リンクやコミュニケーションも認めるべきとの判決を下しました。
アプリ内課金システム以外の支払い方法を、デベロッパーがユーザーに提示できないようにする行為は、一般的にアンチ・ステアリング(anti-steering)行為と呼ばれています。
ロジャーズ判事はAppleのアンチ・ステアリング行為が反競争的だとし、今後はアプリ内購入以外の購入メカニズムに消費者を誘導するボタンや外部リンクもデベロッパーに認めるよう命じたうえで、アプリ登録時に取得した情報からデベロッパーがユーザーとコミュニケーションを取ることも禁じてはならないとしました。
Appleも歩み寄る態度見せたが
この差止め命令は、デベロッパーの長年の不満を解消するものである一方、2020年におよそ640億ドル(約7兆円)の売上高を記録したApp Storeに強烈な一撃を加えることになるのは間違いありません。
Appleは判決が下される前に、アプリ外での購入を促すための消費者へのメール送信に関する規則を見直したり、アプリによっては外部リンクを許可したりといった緩和策を採っています。ただし、あくまでも外部リンクの許可は「リーダー」アプリに限られているため、この判決に従うとなればすべてのアプリに同緩和策を適用しなければなりません。そのためニュースサイトMacRumorsによれば、Appleは判決を不服として控訴する可能性もあるそうです。
このまま行けば、今回下された差止め命令は12月に発効します。
Epicは賠償支払い命令下される
一方でEpic GamesとAppleの裁判は、今のところ全体では10件のうち9件でAppleが勝訴しています。
またロジャーズ判事は、Appleがアンチ・ステアリング行為を行っていたことは認めましたが、「成功は違法ではない」として反トラスト法に抵触するような独占企業であるとの指摘は退けました。さらにEpic Gamesに対しては、iOSの「フォートナイト」アプリでユーザーからAppleを介さない直接支払いによって得た収益のうち30%などを、Appleに損害賠償金として支払うよう命じています。
Source:CNBC,MacRumors
(kihachi)