2022年のスマホはどれくらい価格が上がる?~チップ価格の上昇率から試算
チップ不足が長引く中、半導体を製造するファウンドリがチップ価格の値上げをおこなっています。チップを多く使っているスマートフォンもその影響は避けられません。
調査会社のCounterpointは、チップ価格の上昇によって実際に2022年にどの程度スマートフォンのコストが上昇するかについて試算をおこないました。
成熟したプロセスほど価格が上昇
Counterpointによると、成熟した(先端でない)プロセスほどチップの価格が上昇するようです。
2020年から2022年にかけてのチップの製造単位であるウェハーの価格上昇率は、90nmでは38%なのに対し、7nmでは5%、先端の5nmではむしろ値下がりしています。
これは、先端プロセスはもともとコストが高く、ファンドリ各社はコスト削減に注力しているためです。また、顧客との関係を重視しているという側面もあります。
ローエンドスマートフォンほど大きな影響を受ける
このため、比較的成熟したプロセスで製造されるチップを多く使用する低価格スマートフォンほどチップ価格上昇の影響を受けるそうです。
ほかの部品や製造の費用が変わらないとして、2022年に各価格帯のスマートフォンがどの程度コストが上昇するのか試算したのが以下の表になります。
各列の「100% 80% 50%」は、チップ価格の上昇をスマートフォンの価格に転嫁する割合を示しています。
ハイエンドスマートフォンでは5%~12%のコスト上昇率であるのに対し、ミドルレンジでは6%~14%、ローエンドでは8%~16%コストが上昇するという試算結果となりました。
ハイエンドスマートフォンは比較的コスト上昇率が低いですが、先端プロセスで作られたチップ以外のチップも多く使われているため、やはりコストの上昇は避けられません。
価格上昇によりスマートフォン出荷台数が減少?
販売価格が重要であるローエンドやミドルレンジのスマートフォンの価格上昇によって、2022年はスマートフォンの出荷台数が減少するかもしれません。
スマートフォンメーカー各社は、2022年は利益率が高くチップ価格上昇の影響を受けにくいハイエンドデバイスに注力するという情報もあります。
これにより、チップ不足どころか逆にチップの在庫が積みあがるという事態も考えられるでしょう。
iPhone向けのチップ価格については、TSMCのApple向けのチップ値上げ率は比較的低いために大きな影響を受けないという情報があります
Source: Counterpoint
(ハウザー)