日本の5G通信速度、世界の主要30カ国に近い水準に〜出遅れを挽回

日本は、商用5Gサービス提供の開始で国際的に出遅れましたが、着実に改善が進んでおり、通信速度では主要30カ国に見劣りしないレベルまで改善している、とのレポートが公開されました。
2020年春開始と出遅れた日本の5Gサービス
2020年春に商用サービスが開始された日本の5G通信速度や通信品質について、モバイル通信関連の調査会社、Opensignalがレポートを公開しました。
2019年に5Gの商用サービスを開始したアメリカや韓国などの国々からおよそ1年の遅れがある日本の5G通信サービスは、2021年6月にOpensignalが公開したレポートで、日本はアジア太平洋地域で最下位に位置付けられていました。
着実に改善しつつある日本の5G環境
しかし、日本の携帯キャリアが5G対応基地局の増強に取り組んだ結果、利用可能なエリアや通信速度が向上しており、利用可能エリアのスコア(グラフ左)は、2021年5月時点で1.6点(10点満点)と、2020年9月の0.4から着実に伸びています。
5Gに接続可能な時間の割合は2021年5月時点で2.7%と、2020年9月の1.1%から徐々にではありますが改善が続いています。
日本の5G通信速度、主要30カ国に近い水準に
4Gと5Gの通信速度を、5Gサービスが提供されている主要30カ国と比較したのが下のグラフです。
4G(グラフ左)では、日本はダウンロード速度は46.2Mbpsで9位、最大ダウンロード速度は160.4Mbpsで15位、アップロード速度は9.5Mbpsで19位に位置しています。
5Gでは、ダウンロード速度は160.1Mbpsで13位、最大ダウンロード速度は574.3Mbpsで主要30カ国の528.4Mbpsを超えて11位、アップロード速度は11.2Mbpsで30位となっています。
5Gでも、主要30カ国平均に近いレベルの通信速度が達成されていることがわかります。
ゲーム、ビデオ、音声通話は30カ国平均に近いスコア
5Gを利用したビデオ、ゲーム、音声通話アプリのエクスペリエンススコア(それぞれ100点満点)は、ビデオが75.8で26位、ゲームが70.3で23位、音声通話が80.7で20位と、主要30カ国の平均に近いスコアを獲得しています。
ただし、前述の利用可能時間率の2.7%は29位、利用可能エリアのスコア1.6は25位と、30カ国平均と比べても見劣りします。
日本は遅れをカバーしつつある、ただし懸念も
Opensignalは日本の5G通信について、各キャリアの積極的な設備投資により、遅れを挽回しつつあると評価しています。
一方、政府主導で進んだ携帯料金引き下げの影響で収益が悪化し、キャリア各社の設備投資のペースが鈍る可能性もあり、日本は5Gで世界のリーダーになれる可能性は低いかもしれない、と指摘しています。
iPhone13シリーズはミリ波対応モデルの販売地域拡大か
今後のモバイル通信は今後、5Gが中心になることが確実視されています。調査会社Juniper Researchは最近、2025年までに世界のスマートフォン売上高の過半数が5Gスマホになる、との予測を発表しています。
2019年から商用5Gサービスが開始された中国では、2021年1月から7月に販売された携帯電話の74.3%が5G対応スマートフォンでした。
9月の発表・発売が見込まれるiPhone13シリーズでは、より高速な5Gのミリ波対応モデルの販売地域が日本を含めて拡大すると予測されています。
5G初対応となったiPhone12シリーズでは、ミリ波対応モデルはアメリカでしか販売されていません。
Source:Opensignal
(hato)