英政府、音楽ストリーミング収益におけるアーティストのロイヤリティー率の低さを指摘

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英国政府は音楽ストリーミングサービスにおいて、アーティストに支払われる報酬の割合を一般的な16%から50%に引き上げるべきだとの考えを示しました。この考えに対して、Appleは慎重な姿勢を示しています。

アーティストのロイヤリティー率を16%から50%に

英BBCは、英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)の委員会が半年にわたって行った調査結果を報じています。

委員会の議長を務めるジュリアン・ナイト議員は「音楽ストリーミングサービスが音楽業界に多大な利益をもたらしている一方で、それを支える才能豊かな演奏家、作詞家、作曲家が損失を被っている」と述べています。
 
「現在のビジネスモデルを完全にリセットして、収益の公正な分配に対するアーティストらの権利を法律で規定することが必要です」とも語っています。
 
現在、アーティストが受け取るロイヤリティー率は約16%ですが、それを50%に引き上げるべきだとしています。

 
ソングライターの報酬は、パフォーマーよりもさらに低いものとなっています。
 

ポップ・ソングライターのフィオナ・ビーヴァンは、カイリー・ミノーグのアルバム「Disco」に収録された楽曲で、わずか100ポンド(約15,000円)しか収益を得ることができなかったと明かしています。「現在、ヒット曲を生み出している作曲家は、Uberの配達員をしているようなものです」と議員に語り、「とても恥ずかしいことです」とも述べています。

 
議会は、Apple MusicやSpotifyのようなストリーミングサービスは、アーティストに収益の50%が支払われるラジオ放送と同じように扱われるべきだと主張しています。
 
これに対して、ストリーミングサービスにおいて大きな収益を得ている音楽レーベルは、自分たちが得た報酬は、その後、新しいアーティストに再投資されていると議会の考えに抵抗を示しています。
 
ストリーミング会社の代表者は、ロイヤリティーシステムの改善に対して「柔軟な考え」であることを示しましたが、収益の70%は既にレコード会社、出版社、アーティストに支払われていることを指摘しました。

Appleは業界で2番目に多くアーティストに収益を還元

ストリーミングサービスが利益を上げるどころか、収支を合わせるのに苦労しているのは事実であり、音楽レーベルの取り分を今よりも少なくするべきだと米メディア9to5Macは報じています。実際、ストリーミングサービスの中で唯一非難されたのは、YouTubeのみで、Apple Musicの4分の1以下の報酬しか支払われていませんでした。
 
Appleは、Tidalに次いで2番目に多く収益をアーティストに還元している音楽ストリーミングサービスです。米メディアMorning Brewのツイートによると、米オンラインフィットネスPelotonは、全てのストリーミングサービスよりもはるかに多くの金額を支払っているように思われますが、これはシンクロ権(映像と同期して音楽を使う際に関わる権利)に対する支払いが必要なためだと思われます。シンクロ権の料金は、単に音楽を単独で配信するよりも、はるかに高額なものとなっています。
 


 
YouTubeの大部分でシンクロ権が必要であるにも関わらず、なぜこのような低料金での交渉が可能だったのかは不明です。
 
昨年の調査では、音楽ストリーミングサービスに加入する3分の2のユーザーが、アーティストに報酬が支払われるのであれば、追加料金を支払ってもよいと考えていることが明らかとなっています。
 
 
Source:BBC via 9to5Mac
(m7000)

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この記事を書いた人

本職はWebデザイナーでMacBook Airを10年以上愛用中。iPhone Maniaのライターとしては、2020年から活動開始。iPhone歴は4s→6→7→XS→12 Pro Max。

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