Epic GamesとAppleの裁判、双方が「労力を横取りされた」と互いを批判
Epic GamesとAppleの裁判開始にあたって、自社の努力を相手に横取りされたと主張する資料を双方が提出しているようです。このまま裁判が開始されれば、両社は互いに同じロジックで角を突き合わせることになります。
2020年8月に始まった争い
アプリ内でAppleを介さない決済方法を提示したことで、世界的人気ゲーム「フォートナイト」は規約違反を理由にApp Storeから削除されました。しかし、Epic GamesはAppleを独占禁止法に抵触しているとして提訴、Apple側も損害を被ったとして反訴し、裁判の火蓋が切られました。
裁判所は判決が出るまで、AppleによるEpic Gamesの開発者アカウント削除を禁止した一方、App Storeへのフォートナイト復帰請願も退けています。
双方が同じロジックで批判
今回の裁判のポイントは、(1)AppleのApp Storeが独占的であることを証明できるか、(2)Appleに支払わなければならない30%手数料は法外か、(3)Epic Games側の行動は理に適っているのかでしょう。
Epic Gamesは10月23日に提出した資料で、Appleが「Epicの労働の果実(the fruits of Epic’s labor)を奪う権利はない」と批判、手数料ビジネスで不当に利益を横取りしていると主張しました。
一方のAppleも、Epicの行動は消費者の関係を妨害する「不当利得」で「不法な妨害」であり、現代のロビンフッドのような体裁をまとってはいるものの、実際のところは「数十億ドル規模の企業」であり、「App Storeに由来する途方もない価値(the tremendous value)に対価を支払いたくないだけだ」と厳しく主張しました。400以上のAPIフレームワーク利用を許可し、200回以上の審査、140以上のアップデートを通知、あまつさえタイムズスクエアに広告を出したのは、他でもないApple側だというわけです。
興味深いのは、双方が「労働の果実(Epic Games)」「途方もない価値(Apple)」を奪われたと主張している点でしょう。両社とも対価を支払うことなしに美味しい汁だけを吸っていると相手を批判しているのです。
2021年中頃に始まる裁判は、Appleに限らず、巨大テック企業のプラットフォームの在り方に大きな影響を与えると考えられるだけに、動向を世界中のデベロッパーが固唾を呑んで見守ることとなりそうです。
Source:United District Court,PhoneArena
(kihachi)