iPhoneを米国で製造は夢物語?~イェール大の経済学者が指摘
かねてよりドナルド・トランプ米大統領が「アメリカン・ファースト」を唱えていることに加え、米中貿易摩擦の緊張が日に日に高まっていることもあり、中国に工場を置く企業の動向が注目されています。しかし、イェール大学の経済学者スティーブン・ローチ氏によれば、工場をアメリカに移すというのは口で言うほど簡単ではないそうです。
サプライチェーンのエコシステムを乱すなかれ
経済学者のスティーブン・ローチ氏は、サプライチェーンの特性として「一緒にすることも、バラバラにすることも同じだけの困難が伴う」とし、実際に中国から完全に工場を移転させたのはわずかに過ぎないことを踏まえ、米政府の政策を問題視しました。
ローチ氏が具体例として挙げたのがiPhoneです。Appleは脱中国どころか、中国での組み立て工場を増やしている有り様です。
iPhoneは様々な国の部品を組み立て地である中国に集積し、そこから世界各国に発送します。しかし、組み立てを始めとして多くを米国で賄おうとするならば、そのコストは消費者が支払わなければなりません。
しかもサプライチェーンはコストをできる限り抑えるため、数年スパンで計画を立てます。横槍を入れて計画を妨害すれば、その分のコストは消費者に転嫁されることになるのです。
追加関税対象となるiPhoneの価格は?
トランプ大統領は1月にも、Appleの売上高減少はiPhoneをアメリカで作っていないからだ、と言わんばかりの発言をしており、アメリカでの製造にこだわりを見せています。また、12月からはiPhoneも対中追加関税の対象となります。
アナリストの多くは、追加関税分をAppleが自分たちで吸収するだろうと予測していますが、これ以上関税が引き上げられれば「どこかの時点で消費者に転嫁される可能性がある」といった見方もあります。
幸いにも、中国以外からの対米輸出であれば追加関税は適用されないので、iPhoneの国外輸出を正式に開始するインドの存在感が今後一層強まっていくかも知れません。
Source:CNBC
(kihachi)