米国の対中追加関税が発動〜Apple製品の価格に影響はある?
9月1日より中国製品の対米輸出について追加関税が課されています。対象にはApple製品も含まれており、販売価格への影響が危惧されています。しかしアナリストの多くは、Appleが追加関税分を価格に上乗せすることは当分ないと予測しています。
12月にはiPhoneも追加関税の対象に
ティム・クック最高経営責任者(CEO)の訴えもむなしく、ドナルド・トランプ米大統領は9月1日より15%の追加関税を発動させました。これによって、Apple WatchやHomePod、iPhoneのバッテリーパックなどが影響を受けます。さらに12月にはiPhoneやiPad、MacBookなどを対象とした10%の追加関税も控えており、Appleは予断を許さない状況に置かれています。
販売価格に追加関税分を上乗せするのは簡単ですが、追加関税のぶんだけ消費者の購買力が上がるわけではありません。値上げすれば、消費者の反発を受けるのは必至です。そのためアナリストの多くは、Appleが追加関税分を価格転嫁せず自分たちで補填するだろう、と見ています。実際、追加関税は9月1日より発動済ですが、対象となったApple製品の価格に変化はありません。
10%なら相殺できる?
UBSのアナリスト、ティモシー・アークリ氏は「為替差益でわずかに相殺できるものの、Appleは10%の追加関税を自分たちで吸収するだろう」と述べ、12月に控える追加関税でも消費者に影響はないと指摘します。JP Morganも投資家向けのレポートで「世界的なメモリ価格の下落で製造コストが減少するため、iPhone価格を引き上げなくとも、関税によるコスト上昇分を吸収できる」と分析しています。
一方、調査会社Gartnerのアネット・ジマーマン副社長は「これ以上関税が引き上げられるとなれば、どこかの時点で消費者に転嫁される可能性がある」と見ています。米国の関税引き上げに対して中国も対抗措置を採っており、互いの応酬は収まる気配を一向に見せません。米国内では10%どころか25%の関税を課す案も出ています。
工場移転できるかが鍵
米国向けの出荷分だけでも中国以外で組み立て生産できるようになれば、問題は解決するでしょう。追加関税の影響を受けるのは、あくまでも中国から米国に輸出される商品だけだからです。
著名アナリストのミンチー・クオ氏も「Appleは価格に追加関税分を上乗せしない」との見方を示したうえで、同社が中長期的にインドやベトナムでの生産を拡大することで“脱中国”の動きを図っていくのではないか、と見ています。実際にGoogleは先日、Pixelの生産工場を中国からベトナムへと移しています。
ただし、Appleほどの生産規模となると人材の確保に難航するため、他社のように気軽に生産国を移転できないジレンマを指摘する声もあります。
Source:Yahoo!Finance
(kihachi)