5Gの登場でAppleのiPhone販売戦略に困難が待ち受ける~アナリスト予測

Apple iPhone XS iPhone XR

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iPhoneの内蔵ストレージに価格差を設けるビジネスモデルは、長年に渡ってAppleの利益に貢献し続けてきました。ところが、5Gの到来によって、消費者がこれまでよりも内蔵ストレージの容量を気にしなくなるのではないか、といった見方が出ています。

64GBと512GBで40,000円の差

ほんの数年前までiPhoneに16GBモデルが存在したこと(2015年のiPhone6sが最後)など想像できないように、サイズの大きいアプリやメディアファイルの存在は、スマートフォンの大容量化をもたらしました。そんなスマートフォンの内蔵ストレージは、メーカーが利益を確保するための重要な要素の1つです。
 
例えば、iPhone XSの販売価格は64GBモデルが112,800円、256GBモデルが129,800円、512GBが152,800円となっており、64GBと512GBでは40,000円の価格差が設けられています。しかし、64GBと512GBの内蔵ストレージのパーツコストに40,000円の差はありません。したがって、同じ機種であれば内蔵ストレージの容量が大きいほど、メーカーが得る利益も大きいと一般的には考えられています。
 
iphone xs 内蔵ストレージ 価格
 
投資顧問会社Bernsteinのアナリストであるトニー・サコナギ氏は、Appleのこうした価格差戦略が2019年(会計年度)で180億ドル(約1兆9,000億円)の収益を生み出していると推測しています。

iCloudは内蔵ストレージほど旨味がない

ところが、内蔵ストレージで儲けるビジネスモデルを崩壊させかねないのが「5G」の存在です。次世代通信規格として注目を集める5Gは、理論上の実効速度が4G LTEの約100倍とされ、実際に1.8GBのゲームアプリ「PUBG」を26秒でダウンロードできる動画も公開されています。
 
ここまで通信速度が高速だと、クラウドストレージにファイルを保存しても支障はないため、相対的に内蔵ストレージの価値が低くなってしまうのではないか、というわけです。
 
トニー・コサナギ氏は「(NANDストレージの差だけで)価格が異なるモデルをiPhone、iPad、MacBookで消費者に選ばせるのは、長年に渡ってAppleのビジネスモデルであり続けてきた」とし、今後は5Gの登場がそうした販売戦略を阻むだろう、と予測しています。2020年に登場するiPhoneは、3モデルとも5Gに対応すると考えられています。
 
AppleはクラウドストレージサービスとしてiCloudを提供していますが、内蔵ストレージほど利潤は高くありません。コサナギ氏は「iCloudで内蔵ストレージと同じだけの収益を出すには4年かかる」とし、前途多難なAppleの未来に警鐘を鳴らしています。
 
 
Source:Barron’s
Photo:Apple
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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