一審判決で独禁法違反とされたQualcomm、Appleの内部文書を持ち出し反論
19年4月にAppleと電撃的な和解に至った半導体大手Qualcommですが、米連邦取引委員会(FTC)からも独占禁止法の疑いで提訴されています。このFTCとの裁判で、QualcommがAppleの内部文書を用いて反論を試みていることが明らかとなりました。
Appleとの法廷闘争は別件
泥沼の法廷闘争が続くと予想されていたAppleとQualcommの裁判は、Apple側がQualcommに折れる形で幕を閉じました。Intelの5Gモデム開発の遅れに業を煮やしたAppleが和解を持ちかけたと見られ、Appleは50億~60億ドル(約5,500億~6,600億円)をQualcommに対して支払ったとされています。
ところが、それとは別にQualcommはFTCからも独占禁止法違反で提訴されています。FTCによれば、Qualcommは自らの技術力を盾にして取引相手が不利になるような特許ライセンス契約を結ばせ、競合他社を不当に排除していたそうです。
こうしたFTCの見解を米カリフォルニア州地裁のルーシー・コー裁判官は支持し、Qualcommが独占禁止法に違反しているとの判決を19年5月に下しました。
生々しい内部文書の文言
この判決を受けてQualcommは18日、Appleの内部文書を持ち出して不服を申し立てました。
「プレッシャーをかけて影響力を生み出す」「Qualcommへ財務的なダメージを負わせる」といった目標が掲げられた内部文書のスライドを公開することによって、Qualcommは加害者ではなく被害者だったと印象づけるのが狙いだと考えられています。
一審のコー裁判官がこの提出を認可すれば、次の二審での争いに資料として参照されることになります。そのため、FTCは「不適当、不公平かつ偏っている」としてQualcommの資料提出を批判しました。
ちなみにこの内部文書は、Appleとの法廷闘争でも資料として用いられており、Qualcommにとって文字通り“伝家の宝刀”となっています。とはいえ、せっかく和解にこぎ着けたにもかかわらず、このような生々しい内部文書を事あるごとに持ち出されては、Appleとしては堪ったものではないでしょう。
Source:Reuters via 9to5Mac
(kihachi)