App Storeのルールは独禁法違反、新たにデベロッパーがAppleを提訴

    Apple App Store 「Principles and Practices」

    Apple App Store 「Principles and Practices」
     
    アプリ配信のプラットフォームであるApp Storeが独占禁止法に反しているとして、2人のデベロッパーが5日、Appleに対して訴訟を起こしました。App Storeについては、これまでにも同様の集団訴訟が展開されてきました。

    App Store以外に選択肢がない

    カリフォルニア州サンノゼの連邦裁判所に訴えを起こした2人のデベロッパーが問題にしているのは、AppleがApp Store以外でiOS向けアプリのダウンロードを禁じている点です。
     
    したがってiOSアプリを開発する以上は必然的にApp Storeを選択する必要がありますが、そうした状況でAppleが年間99ドル(日本国内では11,800円)のDeveloper Programへの加入を義務付け、アプリの有料価格を最低99セント(日本国内では120円)に規定し、さらには最大30%のマージンを徴収するのは、独占禁止法に違反しているのではないか、というのが彼らの主張です。
     
    「Appleは厚かましくも市場での権力を乱用し、デベロッパーに損害を与えている。iOSアプリを販売できる唯一のプラットフォームを使うよう、彼らは強制されている」と語るのは、集団訴訟を担当する弁護士事務所Hagens Bermanです。「もし競争原理が働いていたならば、こんな事態は起きるべくもなかっただろう」
     
    ちなみに、2016年にAppleの電子書籍サービス(iBooks)が独占禁止法に抵触しているとして数億ドルの支払いを命じられた際も、Hagens Bermanは集団訴訟を統括していました。

    Appleとしても言い分はある

    もちろん、Apple側にも言い分はあります。
     
    「App Storeは独占禁止法に反する」とする訴えの適格性を認めた米最高裁判所の判断を受け、Appleは先日「Principles and Practices(原理と取り組み)」と題した特設ページを公開しました。
     
    そこでは「誰もが、最高の経験ができるストアであるために」Appleが厳格な審査を行っていることや、公開されているアプリの大半がAppleの利益にならないものであること、Appleのサービスと競合するサードパーティアプリも公開されていることなどが示されています。
     
    つまり、Appleが自社のプラットフォーム上でコントロールを強めることは、消費者やデベロッパーの利益にも適っているというわけです。
     
    ただし、先日のWWDCで発表されたiOS13の「Sign in with Apple」でも、ユーザープライバシーの尊重が喧伝される一方で、競合他社のサインインボタンの上にApple IDボタンを設置するようAppleが取り決めたことについては、早くも「反競争的行為ではないか」と疑問視する声が上がっています。
     
    Appleが私営企業として余りにも巨大すぎるがゆえのジレンマとも言えますが、はたして風向きを変えることはできるのでしょうか。
     
     
    Source:Reuters,Yahoo!Finance
    (kihachi)

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