ジャパンディスプレイ、台湾・中国連合傘下に。中国にOLED工場建設も計画
iPhoneなどの液晶ディスプレイの主要サプライヤーでもあるジャパンディスプレイ(JDI)は4月12日、台湾と中国の企業連合からの出資を受け入れ、外資の傘下となることを発表しました。
台湾・中国連合が筆頭株主に、国内拠点統廃合も
JDIは、台湾のタッチパネル製造大手TPK Holdings、中国の投資会社Harvest Groupなどから成るSuwaコンソーシアムから800億円の金融支援を受けると発表しました。
これに伴い、筆頭株主はINCJ(旧産業革新機構)から、持ち株比率49.8%を握るSuwaコンソーシアムへと移ります。INCJ(旧産業革新機構)の持ち株比率は12.7%に低下しますが、経営再建の支援を続けるとのことです。
12日の会見で、JDIの月崎義幸社長・COO(最高執行責任者)は、中国に有機EL(OLED)工場を建設する方針で協議を進めていることや、国内拠点の統廃合の計画を明かしています。
最近、Apple Watch向けのOLEDをJDIが受注し、年末から供給を開始する、とReutersが報じています。
Appleへの依存度の高さがダメージに
JDIは、官民ファンドであるINCJの主導でソニー、東芝、日立のディスプレイ部門を統合して立ち上げられた「日の丸連合」企業です。
iPhoneなどのスマートフォン向け液晶ディスプレイで高いシェアを誇ったJDIでしたが、近年のハイエンドスマホで主流となったOLEDでは出遅れていました。
JDIは、2015年にAppleと液晶の新工場設立で合意したものの、2017年のiPhone XからAppleはOLEDへと軸足を移しつつあり、iPhoneの販売が頭打ちとなったことも響き、Appleへの依存度の高さがダメージとなり、苦境に追い込まれていました。
2016年9月には、世耕弘成経済産業大臣が「Appleの下請けを続けるなら、JDIは海外への売却も検討する必要がある」と語っていましたが、その言葉が現実になってしまった格好です。
JDIが中国資本に買収されるとの観測は以前から浮上していましたが、仮にJDIが中国に工場を設立しても、米中貿易摩擦のリスク回避のため、AppleがJDIからの調達を見直すのではないか、とも言われています。
Source:ジャパンディスプレイ(PDF), ロイター, 日本経済新聞, AppleInsider
(hato)