「格安SIM」成長スピード鈍る、原因は大手キャリアの対抗プランか

SIMカード
 
MM総研は、2018年9月末時点での国内MVNO市場についてのデータを公開しました。「格安SIM」契約数は1202.7万回線で伸びているものの、大手キャリアの「格安SIM」対策プランにより、成長スピードは鈍っています。新型iPhoneが対応したeSIMが今後、日本でも利用可能になれば、MVNOユーザーが増えると見込まれます。

「格安SIM」回線数、2018年9月末に1202.7万回線、前年同期比28.7%増

MM総研によると、「格安SIM」とも呼ばれ、独立系MVNOがSIMカードを使ったサービスを提供する「独自サービス型SIM」の回線契約数は、2018年9月末時点で1202.7万回線となり、2017年9月末の934.4万回線から、1年間で28.7%増加しています。
 

 

格安SIMの成長にブレーキ、大手キャリアの対抗策が響く

2018年9月末時点で、3GとLTEを合計した携帯電話契約数は1億7167.0万回線でした。
 
そのため、独自サービス型SIMが占める割合は7.0%で、2017年9月末の5.7%から1.3ポイント増加していますが、2016年9月から2017年9月にかけての1.6%増加と比べて、成長率は鈍くなっています。
 

MM総研は、格安SIMの成長が鈍った理由を、大手キャリアがMVNO対抗の料金プランの影響、と分析しています。
 
NTTドコモは月額料金を毎月1,500円値引きする「docomo with」にiPhone6sを投入、au(KDDI)はデータ容量をムダなく使える「auピタットプラン」、ソフトバンクはYouTubeや各種SNSのデータ通信量がカウントされない「動画SNS放題」と50GBの大容量プランをアピールしたことで、ユーザーのMVNOへの流出に歯止めがかかったとみられます。

MVNOシェアトップは楽天

MVNO事業者の市場シェアは、楽天が15.6%(187.2万回線)で、2018年3月末に続いてトップに立ちました。
 
2位はIIJmioなどのインターネットイニシアティブが13.2%(158.5万回線)、3位はUQ mobileのUQコミュニケーションズが11.3%(135.4万回線)でした。
 

 
シェアトップの楽天は、高速データ通信容量を使い切っても、最大1Mbpsの通信速度が利用できる(一部時間帯を除く)「スーパーホーダイ」の契約数が伸びた、とMM総研は指摘しています。
 
楽天モバイルは、2018年10月からはauの回線を利用したプランを提供しているほか、2019年にはauのローミングを受けながら「第4のキャリア」となります。
 
インターネットイニシアティブは、法人向けのIoT回線で回線数が伸びました。
 
前年の5位から3位に躍進したUQ mobileは、最近はiPhone7の取り扱いを開始するなど、取り扱い端末の拡充や直営店の増加などが契約数増加につながったと見られます。

新型iPhoneのeSIM、解放されればMVNOユーザー増加か

MM総研は、今後のMVNO市場について、個人向けスマホ向けサービスの成長は鈍化する一方で、2019年以降はIoT向けの需要が拡大することで、2023年3月末には2,420万回線に拡大、うち30%をIoT向けが占めると予測しています。
 

 
また、2018年秋の新型iPhoneがeSIMに対応していることから、日本でもeSIMが利用可能になれば、MVNOサービスを利用するiPhoneユーザーが増えると考えられます。

 
 
Source:MM総研
(hato)

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