TSMC、少なくとも2020年までiPhoneにチップ独占供給か

a11 チップ

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AppleとチップメーカーTSMCの蜜月は当分続きそうです。iOS製品に搭載するチップ「A~」シリーズを供給するTSMCが、少なくとも2020年までは独占的にAppleとの契約を結ぶ見通しであることが分かりました。しかし、一見すると“一人勝ち”のように見えるTSMCですが、リスクを併せ持ってもいます。

2019年だけでなく2020年も

Credit Suisse証券のアナリストによると、AppleはiPhoneやiPadに搭載するチップを、少なくとも2020年までは独占的にTSMCに対して受注するようです。事実、iPhone XIに搭載見込みのA12ばかりか、2019年に登場予定のiPhoneについてもTSMCが1社で供給を請け負うとする観測が先日も出たばかりです。
 
Appleは2014年よりTSMCと契約を結んでいますが、「チップゲート」などの問題もありSamsungがチップのサプライヤーとして外れてからは、TSMCが独占的な供給を担ってきました。
 
これは、コストやリスクを抑えるために複数のサプライヤーと契約するAppleからすると、非常に珍しいケースだと一般的には考えられています。

実はSamsungはやる気なし?

一体なぜ、TSMCはここまでの地位に上り詰めたのでしょうか。
 
他社が追随できないような高い技術を備えていることはもちろんですが、実はライバルがそこまでTSMCからシェアを奪うことに熱心でないのではないか、とみる識者もいます。
 
例えば、Samsungは「Appleとファウンドリ提携したいという欲はあるが、iPhoneの部品(BOM)に占めるシェアはすでに十分高い」と述べるのは、Arete Researchのアナリストです。Samsungは有機EL(OLED)を独占供給しているほか、DRAM、カメラセンサー、NANDメモリチップをAppleに供給しており、それらが業績を押し上げる要因にもなっています。
 
また、スマートフォン市場への本格参入が噂されるIntelも、Appleが必要としているようなSoCを開発してきた歴史は浅く、技術的にはTSMCに大きく遅れを取っているのが現実です。

Appleに依存しすぎる危険

こうしたことを思えば、TSMCが7nmプロセス技術で開発するチップの供給先のうち、実に75%がAppleという状況も必然的と言えるかも知れません。
 

tsmc 7nm シェア apple

 
しかし、そうであるがゆえに、いざAppleから契約を切られた時の痛手は計り知れないものとなります。
 
過去に、iPhoneにGPUを供給していたImagination Technologiesは、Appleとの契約終了後に業務を続行できず、最終的に中国政府関連ファンドCanyon Bridge Capital Partnersへ身売りする羽目になりました。また、iPhone向けバッテリー制御の回路(PMIC)を担当するDialog Semiconductorは、サプライヤーから外されるという噂が立っただけで、株価が大きく下落する憂き目にあっています。
 
 
Source:EE Times
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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