新型MacBook Proのパフォーマンス低下はアップデートで改善可能か

    iFIxit 2018 MacBook Pro 13インチ 分解

    iFIxit 2018 MacBook Pro 13インチ 分解
     
    Intel Core i9を搭載したMacBook Pro 2018において、「スロットリング」によってパフォーマンスが前年度モデルよりも低下するという問題について、ソフトウェアアップデートで改善できるのではないか、という指摘が出ています。

    ハードウェアではなくソフトウェアの問題?

    サーマル・スロットリングは、動作クロックを落とすことでチップが熱くなることを防ぐというものです。しかし、Intel Core i9を搭載した2018年モデルが、より能力が低いはずのIntel Core i7搭載の2017モデルよりもベンチマークテストにおいて低いスコアを出してしまうという状況は、どこかおかしいと言わざるを得ないでしょう。
     
    これについては、Consumer Reportsが近年のラップトップでは珍しくない現象だとして、十分な冷却スペースがないゆえの問題だと指摘していました。しかし、Redditに投稿された情報によると、MacBook Pro 2018で期待されたパフォーマンスが発揮されないのは「設計ミス」の可能性があるそうです。

    スクリプトの見直しで改善したとの報告

    情報を投稿した人物(u/randompersonx)によると、そもそもMacBook Pro 2018で指摘されているパフォーマンス問題は、究極的にはCPUのサーマル・スロットリングではなく、VRM(Voltage Regulator Module:マザーボードに搭載された電源回路)のパワー・スロットリングに原因があるそうです。
     
    VRMがオーバーヒート(規定の上限値に達する)すると、同回路の温度を下げるためにマザーボードはCPUに対して、スピードを800Mhzまで落とすよう信号を送ります。これによって消費電力が落ちてVRMの温度が下がると、一転してCPUはパワーを最大値まで持っていきます。すると、今度はCPUが高いスピードを達成しようとするため、VRMがオーバーヒートしてしまい、マザーボードは再びスピードを落とす信号を送る……というループが起きてしまいます。
     
    この問題を解決するために、情報投稿者は特殊な電圧変化用スクリプト「voltageshift」(GitHubで公開中)をMacBook Proにインストールし、CPUの電力設定や定義を書き換えたところ、見事にVRMのスロットリングが減少したそうです。つまり、IntelのCore i9のパフォーマンスが想定以上に高いために、AppleによってVRMの設定が最適化されていなかった、というわけです。

    それでもハードウェア上の制約はある

    仮にこの投稿が正しければ、将来的にはmacOSのアップデートで問題の改善も見込めると言えるでしょう。情報投稿者も「単に私の設定をコピペすればいい」としたうえで、Appleならさらに最適化できる可能性があると指摘しています。
     
    もっとも、i9の能力は本来であれば、情報投稿者が設定し直した状態よりもさらに20〜25%は高いとのことで、それでもなお最大パフォーマンスを発揮することはできないようです。
     
    これ以上の改善を行うためには、ハードウェア面での解決、つまりCPUの放熱グリス(サーマル・ペースト)をリキッドメタルにしたり、冷却用ファンをさらに大きなものにする必要がある、と同氏は指摘しています。
     
     
    Source:Reddit via AAPL Ch.,GitHub(voltageshift)
    Photo:iFixit
    (kihachi)

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