古いiPhoneが遅くなる問題、米国内の集団訴訟61件はすべて統合へ

古くなってバッテリー性能が低下したiPhoneの動作速度を抑制していたことに対するユーザーたちによる集団訴訟は、現時点で61件ありますが、それらを全て、Apple本社に近いカリフォルニア州北部の裁判所にまとめるよう、命令が下されました。
全米で発生中の集団訴訟をまとめるよう命令
米広域係属訴訟司法委員会は現地時間4月4日、iPhoneの動作速度抑制問題に関連した訴訟は、すべて北カリフォルニア連邦地裁に移送するよう命じたことを発表しました。
その目的は、技術的で専門的な内容が含まれる、同様の目的による多数の訴訟を北カリフォルニア連邦地裁で取り扱うことで、司法手続きの合理化を図るため、と説明されています。
統合された公判前手続きは、エドワード・J・ダビラ名誉判事が担当します。

エドワード・J・ダビラ名誉判事
弁護士は「ユーザー側の勝訴は難しい」
Appleは、性能の低下したバッテリーが原因の突然のシャットダウンを回避するため、iPhoneの最大性能を抑制していたことを2017年12月に認めました。
その直後にユーザーによる集団訴訟が起き、現時点でアメリカ国内だけで61件の集団訴訟が提起されており、現在も増え続けています。
ユーザーがAppleを相手取った集団訴訟について、企業法に詳しい弁護士は、「ユーザー側の勝訴は難しいだろう。しかし、Appleが勝訴しても企業イメージに傷がつく」と予測しています。
Appleは、ユーザーによる集団訴訟に加えて、アメリカ、カナダ、フランス、韓国、ブラジルなどの政府機関から消費者保護の観点で問題があるのではないか、との疑惑を向けられています。
iOS11.3ではバッテリー状態の確認が可能に
iPhoneのバッテリーが古くなることで電圧が不安定となり、iPhoneが突然シャットダウンするのを防ぐため、iPhoneのピーク性能を引き下げる措置は、2017年1月に公開されたiOS10.2.1で最初に導入されました。
iOS10.2.1を導入すると一部のiPhoneで発生していた突然のシャットダウン問題は解決に向かいました。しかし、AppleはiOS10.2.1でiPhoneの性能抑制措置を取っていることは明言していませんでした。
Appleは2017年末、ユーザーへの説明不足があったことを謝罪し、バッテリー交換を希望するユーザーには料金を減額する対応を開始しました。
先日公開されたiOS11.3には、設定アプリからバッテリー状態を簡単に確認できる機能が追加されています。
Source:MacRumors
Photo:北カリフォルニア連邦地裁, iFixit
(hato)