QualcommとMediaTekが2nmチップの製造委託先をSamsungに変更か

QualcommとMediaTekが、次世代チップの製造委託先をTSMCからSamsungに切り替える可能性があるとの情報が、サプライチェーン関係者の間で伝えられています。
両社は現在、ハイエンドシステム・オン・チップ(SoC)の製造をTSMCに委託しています。
TSMCのN2からSamsungの2nm GAAに変更する可能性
QualcommとMediaTekが2nmプロセスで製造される次世代チップの製造委託先をSamsungに変更する理由として、TSMCの2nmプロセス「N2」の製造コストが高いことが挙げられています。
N2の製造コストはウェハー1枚あたり約30,000ドル(約450万円)とされ、
高額ながらも現行の3nmプロセス「N3P」からの値上げ率は大きくないとみられていました。
一方、Samsungの2nmプロセス「2nm GAA(Gate-All-Around)」を採用する場合、同じ2nm世代でもTSMCより製造コストが抑えられる可能性があります。
Samsungは稼働率を高めるため、潜在顧客に対して価格面で魅力的な条件を提示していると考えられます。
MediaTekの製造委託先変更には懐疑的な見方も
Qualcommは過去にSamsungへハイエンドSoCの製造を委託していましたが、
MediaTekは一貫してTSMCに依頼してきました。
そのMediaTekがSamsungに切り替えるとなれば、サプライチェーンにおける大きな動きとなります。しかしこの噂には懐疑的な意見もあります。
MediaTekの次世代SoCはTSMCのN2プロセスでの製造を前提に設計が完了しているため、この段階で製造委託先を変更する可能性は低いとの指摘も出ています。
Samsungの2nmプロセス立ち上げは3nmより順調か
Samsungは以前、3nmプロセスでの製造歩留まり率の向上に難渋し、それがQualcommやGoogleがTSMCに製造を委託する主要な理由のひとつになったといわれています。
2nm GAAプロセスにおける試作状況や歩留まり率に関する具体的な情報はまだ少ないものの、3nmのときほどの課題には直面していない可能性もあります。
いずれにせよ、こうした製造委託先変更の噂そのものが、QualcommやMediaTekにとってTSMCとの価格交渉を有利に進めるための材料となっていることは間違いないでしょう。
Photo:Heyup