AffinityのiPad版が無料に〜ProcreateやAdobeと料金を比較

Canva傘下のデザインアプリ「Affinity(アフィニティ)」のiPad版が、11月2日に公開されました。個人であれば、描画やベクター編集、写真編集、レイアウトの各ツールを無料で使えます。有料なのはCanvaのAI機能のみです。ProcreateやAdobeのiPad版と料金を比べ、無料でどこまでできるかを整理しました。
AffinityのiPad版が個人無料で公開
Affinityは、写真編集の「Affinity Photo」、ベクター描画の「Affinity Designer」、レイアウトの「Affinity Publisher」を、2025年に1本へまとめたデザインアプリです。2024年に開発元を買収したCanvaが、Mac版とWindows版を2025年10月から無料で提供しています。
11月2日にはiPad版が公開され、日本のApp Storeでも「Affinity by Canva」として配信を開始。日本語にも対応しています。ダウンロードサイズは約1.9GBと大きめなので、iPadの空き容量には注意が必要です。
Affinityの公式Xアカウントも11月2日に公開を告知し、iPad版を「機能を削った補助アプリではなく、デスクトップ並みの力を指先で使えるアプリ」と紹介しました。
iPad版には、次の4つのスタジオ(作業画面)が入っています。
- Sketch:Apple Pencilで絵を描く(350種類以上のブラシ)
- Vector:ロゴや図形などの線画を作る
- Pixel:写真の補正や合成をする
- Layout:チラシや冊子などのページを組む
1つのファイルを編集しながら4つのスタジオを切り替え可能で、保存したファイルはMac版やWindows版でもそのまま開けます。書き出しはJPEGやPNG、PDFなどに対応し、作ったデザインをCanvaへ直接送ることも可能です。
前身のAffinity PhotoのiPad版は、2017年にAppleの「iPad App of the Year」に選ばれた有料アプリとして知られています。旧版のiPadアプリ3本は2025年10月から無料で提供されていました。今回公開されたのは、これら3本の機能を1つにまとめた新しいアプリです。
Affinityで有料なのはAI機能だけ
Affinityで有料なのは、CanvaのAI機能のみです。Canvaの無料アカウントを作成すれば、AI機能を除くすべての編集機能を利用できます。
Canva AIは年8,300円から
Canvaの有料プランに加入すると、画像の生成拡張や高画質化、ノイズ除去などの機能が使えるようになります。また、生成AIで作成した画像をCanva AIが分析し、複数のレイヤーに分割できる機能も含まれます。

Affinity内でこれらのAI機能を使うには、Canva Proなどの有料プランに加入しなければなりません。日本のApp Storeに表示されているアプリ内課金の料金は、Canva Proが月額1,180円または年額8,300円、事業向けのCanva Businessが月額1,880円または年額18,800円です。
一方、Canvaの公式サイトでは、Canva Proの年額料金が11,800円と案内されています。AI機能を使わなければ、描画や写真編集などのツールを無料で使い続けることが可能です。本格的なイラスト制作や写真編集にも、追加料金なしで取り組めます。
iPad版にまだない機能
Mac版とWindows版にある機能のうち、いくつかはiPad版にまだ入っていません。公開の時点で使えない主な機能は、次の通りです。
- Books(複数の文書を1冊にまとめる)
- Batch(画像の一括処理)
- Data Merge(データの差し込み)
- Quick Adjustments(簡易調整機能)
- InfoパネルとScopeパネル(画像情報の確認・解析)
- マクロの記録(複数の編集操作を記録して再利用する機能)
- Astrophotography Studio(天体写真の合成)
iPad版でも複数ページの冊子を作れますが、複数の文書を1冊にまとめるBooks機能や画像の一括処理には対応していません。Affinityでこうした作業を行うには、当面Mac版かWindows版を使う必要があります。Canvaは、iPad版の機能を今後追加していく方針です。
ProcreateやAdobeのiPad版と料金を比較
iPadでイラストやデザインを手がけるアプリでは、ProcreateやAdobeのアプリがよく知られています。日本のApp Storeでの料金と主な用途を、次の表にまとめました。
| アプリ | 料金 | 主な用途 | 対応OS |
|---|---|---|---|
| Affinity | 無料(AI機能はCanva Pro 年8,300円〜) | 描画・ベクター・写真編集・レイアウト | iPadOS18以降 |
| Procreate | 1,800円(買い切り) | 描画 | iPadOS16.3以降 |
| Illustrator iPad版 | 月1,080円/年8,700円 | ベクター | iPadOS14以降 |
| Photoshop iPad版 | 基本機能は無料、iPad版のプランは月1,200円/年6,000円 | 写真編集 | iPadOS18以降 |
IllustratorとPhotoshopのiPad版を、それぞれ表に記載した年額料金で契約すると、合計14,700円になります。一方、Affinityならベクター編集と写真編集に加え、レイアウト機能も無料で使用可能です。
ただし、対象となるCreative Cloudプランを契約していれば、IllustratorやPhotoshopのiPad版を追加料金なしで使える場合があります。すでにAdobeのデスクトップ版を利用している人は、現在の契約にiPad版が含まれているか確認するとよいでしょう。
対応するiPadとApple Pencil
Affinityが対応するのは、iPadOS18以降を搭載したiPadです。Affinityの公式サイトの対応機種には、iPad mini(第5世代)やiPad Air(第3世代)といった古いモデルも含まれています。
一方、11月6日に発売されるiPad mini(A20 Pro)は、執筆時点では公式サイトの対応機種の一覧に載っていません。発売前のため、対応機種の一覧にまだ追加されていない可能性があります。購入を検討している人は、発売後にAffinityの対応状況を確認するとよいでしょう。
Apple Pencil Proにも対応しており、ペンを回転させる「バレルロール」、ペンを握って操作する「スクイーズ」、画面に触れる前にペン先の位置を確認できる「ホバー」といった機能を利用できます。
なお、App Storeでの対応機種はiPadだけで、iPhoneには入れられません。iPhone DuoでもApple Pencilが使えるようになりました。しかし、iPhone Duoでは、今のところAffinity未対応となっています。
AffinityかAdobeかを選ぶ基準
どのアプリを選ぶかは、利用目的と作成したファイルを誰に渡すかで分かれます。使い方ごとの向き不向きは、次の通りです。
| 使い方 | 向いているアプリ | 理由 |
|---|---|---|
| イラストを描くだけ | ProcreateかAffinity | Procreateは1,800円の買い切りで、Affinityなら0円で試せる |
| ロゴやチラシを1本で作る | Affinity | ベクターとレイアウトを無料で使える |
| 仕事でAdobe形式のまま受け渡す | IllustratorやPhotoshop | AffinityでもPSD形式やAI形式のファイルを開けるが、一部のデータは修正が必要になる場合がある |
AffinityはPhotoshopのPSD形式やIllustratorのAI形式のファイルも開けます。しかし、高度な機能を使ったデータは、開いた後に修正が必要になる場合があると公式サイトで案内しています。
書き出せる形式にはIllustratorのAI形式が含まれていないため、AI形式のまま納品する仕事には向きません。取引先とAdobeの形式でやり取りしている人は、すぐに乗り換えず、まずはAffinityを無料で並行して試すのが現実的でしょう。
Canvaは、デザインツールを無料で提供する一方、AI機能を有料とする仕組みをiPad版にも導入しました。今回の無料化が、ほかのiPad向けデザインアプリの料金に影響するかも注目されます。
Photo: Affinity

