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iPhoneの予測変換に隠された非公開リスト!日本語15項目を独自検証

iPhone 予測入力 制限リスト hato/iPhone Mania

iPhoneの予測入力やなぞり入力に、約10万語・フレーズを対象とする非公開の制限リストが存在することが明らかになりました。「独裁者トランプ」などの政治的な表現だけでなく、日常的な言葉も含まれています。iPhone Maniaでは、Appleが配信する日本語の言語データを独自に解析して15項目を抽出し、実機で入力できるかを検証しました。

目次

iPhoneの予測入力に約10万語の非公開リスト

iPhoneのキーボードには、特定の単語やフレーズを予測候補から除外する「グレーリスト」が存在することが、研究者デリク・カウフマン氏の調査で判明しました。

同氏は、OpenAIのCodexとAnthropicのClaude Codeを活用してiOS内部のデータを解析し、調査結果を「Swipeblocked」というWebサイトで公開しています。

リストは英語だけでなく、28の言語・文字体系にまたがり、登録されている語句は中国語の漢字を除いて約10万件に上ると推計されています。

英語では、iOS27.0のデータから4,513フレーズが特定され、公開されています。ただし、リストに含まれる言葉の入力自体が禁止されているわけではありません。

1文字ずつタップすれば入力できますが、予測候補に表示されなかったり、キーボード上で指を滑らせる「なぞり入力(QuickPath)」では別の単語に置き換わったりする場合があります。

また、英語では予測候補用となぞり入力用のリストが異なり、予測候補に表示されなくても、なぞり入力では入力できるフレーズがあります。

「独裁者トランプ」だけでなく日常的な言葉も対象

公開された英語のリストには、次のようなフレーズが含まれています。

政治的、差別的な表現に加え、「サンタは実在しない」「iMessageが動かない」など、それ自体は攻撃的ではない言葉も含まれています。

英語のフレーズ日本語の意味
dictator Trump独裁者トランプ
sleepy Joe寝ぼけたジョー(バイデン前大統領のあだ名)
Tibetan independenceチベット独立
United Irelandアイルランド統一
right wing conspiracy右翼の陰謀
Santa isn’t realサンタは実在しない
iMessage isn’t workingiMessageが動かない

Reutersも実際のiPhoneで検証し、「sleepy Joe」をなぞり入力すると「Sleepy hope」に、「white man(白人男性)」は「white mean」に置き換わることを確認しました。

一方、「dictator Trump」はなぞり入力できたものの、予測候補には表示されなかったと報告されています。

また、別の技術者も同様のリストを独自に抽出し、カウフマン氏の調査結果とほぼ一致することを確認しています。

iPhone Maniaが日本語15項目を独自に抽出

カウフマン氏の技術資料によると、日本語にも15項目を含む別形式のリストが存在します。

そこでiPhone Maniaでは、Appleが配信する日本語の言語データを取得し、内容を独自に解析しました。

Appleの言語データ配信サービス「LinguisticData」から日本語用のアーカイブを取得したところ、「blocklist.dat」というファイルを発見。このファイルから、カウフマン氏が指摘した件数と一致する15項目を抽出しました。

抽出された日本語の15項目は以下のとおりです。

AHOBAKAあほ
おはヨーグルトこちゃんばか
んアホコロナ
バカーーの
国民民主党畑亜調教

「アホ」「バカ」などの侮辱的な言葉のほか、「コロナ」「おはヨーグルト」、さらには政党名の「国民民主党」も含まれています。

また、「ん」「ー」など、単独ではリストに含まれる理由が分からない文字列もあります。

ただし、このリストに含まれていることだけで、Appleがこれらの言葉の入力を禁止しているとは判断できません。

日本語15項目を実機検証!

リストに含まれる日本語は、実際のiPhoneで入力できないのでしょうか。

Apple純正の「メモ」アプリを使い、15項目を入力しました。

検証にはiOS27.2をインストールしたiPhone16 Proを使用しました。Apple純正の「メモ」アプリで予測テキストと自動修正をオンにし、15項目をそれぞれ入力しました。検証のたびにキーボードの変換学習をリセットしています。

日本語のキーボードは、かな入力とローマ字入力の両方を試しています。

通常どおり入力・変換が可能!

検証の結果、読み方が不明だった「畑亜」を除く14項目すべてを入力できました。漢字にも問題なく変換でき、少なくとも今回の検証では、通常の入力・変換が妨げられる現象は確認できませんでした。

iPhone 予測入力 制限リスト 日本語

日本の主要政党名でも検証

さらに、リストに含まれる「国民民主党」と、ほかの主要政党名の予測入力を比較しました。

その結果、「国民民主党」「自由民主党」「立憲民主党」「日本維新の会」「公明党」「日本共産党」「中道改革連合」は予測候補に表示されましたが、「参政党」は「さんせいとう」まで入力しても候補に表示されませんでした。

iPhone 予測入力 制限リスト 日本の政党名
左は「sleepy Joe」、右は「white man」となぞり入力している途中。それぞれ「sleepy Joke」「white mans」が自動選択されている

このことから、少なくとも今回の検証では、非公開リストへの登録と予測候補への表示に、単純な対応関係は確認できませんでした。ただし、候補に表示されない理由は特定できていません。

日本語リストの用途は依然として不明

今回の結果は、抽出した15項目が、日本語の通常変換を直接禁止するためのリストではない可能性を示しています。

一方、「blocklist.dat」が具体的にどの入力処理で使用されているのかは分かっていません。

予測候補の表示や変換学習、配信辞書の適用などに関係する可能性も考えられますが、いずれも今回の調査では確認できていません。

同じアーカイブに収録された辞書ファイルを解析しても、15項目との直接的な対応関係は見つかりませんでした。

また、今回取得した配信データが、検証に使用したiPhone上で実際に読み込まれているかも未確認です。

したがって、日本語の15項目が存在することは確認できましたが、実際の入力支援機能にどのような影響を及ぼすかは、現時点では不明です。

英語のなぞり入力では、一部のフレーズが別の言葉に

続いて、Reutersが入力制限を報告した英語のフレーズも検証しました。

iPhone16 Proの表示言語を日本語と英語に切り替え、英語(米国)キーボードのなぞり入力(QuickPath)で4つのフレーズを複数回試しました。

結果は以下のとおりです。

フレーズReutersの結果iPhone Maniaの結果
sleepy JoeSleepy hopeSleepy Joke
dictator Trumpなぞり入力可能入力可能
white manwhite meanwhite mann、white mans
black man比較対象として使用入力可能

「sleepy Joe」は「Sleepy Joke」に変化しました。

また、「white man」は、複数回の検証で「white mann」または「white mans」に変化しました。

iPhone 予測入力 制限リスト 英語

Reutersの報告とは異なる文字列ですが、いずれも意図したフレーズを正しく入力できなかった点は共通しています。

一方、「dictator Trump」と、比較対象の「black man」は正常に入力できました。

iPhoneの表示言語による違いはなし

今回の検証では、iPhoneの表示言語を日本語から英語に変更しても、4つのフレーズの入力結果に違いはありませんでした。

「sleepy Joe」はどちらの表示言語でも「Sleepy Joke」に、「white man」は「white mann」または「white mans」に変化しました。

ただし、なぞり入力の認識精度や指の動かし方によって結果が変化する可能性もあります。今回の現象が非公開リストによるものとまでは断定できません。

また、Reutersは「dictator Trump」について、なぞり入力はできても予測候補には表示されなかったと報告しています。

筆者も英語の通常入力で検証したところ、「dictator Trum」まで入力した時点で、予測候補には「Trumps」「Trumpet」が表示され、「Trump」は現れませんでした。

iPhone 予測入力 制限リスト 英語
「dictator Trum」まで入力した状態の予測候補(最下部)。「Trump」は表示されないが「Trumps」「Trumpet」が表示されている

AirTagの刻印でも、Appleは使える言葉を制限

Appleが製品やサービスで特定の言葉を制限していることは、今回初めて明らかになったわけではありません。

2021年4月には、AirTagの刻印に使う絵文字について、組み合わせや順番によっては注文できないことが話題となりました。

「馬」と「うんち」の絵文字を並べると刻印が拒否される一方、順番を逆にすると受け付けられるというもので、日本のAppleオンラインストアでも同様の動作を確認しています。

また、同年8月には、AirTagやAirPods、iPadなどの製品に刻印できない言葉が、国や地域によって異なることも注目を集めました。

Citizen Labの当時の調査によると、刻印を拒否する語句は中国本土で1,045語、日本で192語、米国で170語でした。

中国本土や香港では政治的な表現に対する制限が多く、天安門事件を示す数字や「新聞自由」などの言葉も対象となっていました。

ただし、製品刻印と今回のキーボードのリストでは、制限の仕組みが異なります。

製品刻印では特定の文字列を指定できませんが、iPhoneのキーボードでは、予測候補に表示されない言葉でも手入力は可能です。

Appleは「不適切な候補を避けるため」と説明

今回の制限リストは、iOS27で新たに導入されたものではありません。

カウフマン氏の調査によると、英語のリストはiOS14.0の約1,700フレーズから、iOS27.0では4,513フレーズに増加しています。

ちなみに、中国語(簡体字)は43,014件、トルコ語では22,128件、イタリア語では11,021件、フランス語では10,294件、ドイツ語では5,003件など、英語よりも多くの語・フレーズが制限リストに入っている言語もあります。

AppleはReutersの取材に対し、iPhoneのキーボードは、不適切または攻撃的と受け取られる可能性がある候補を提示しないよう設計されていると説明しました。

また、ユーザーは特定の言葉を自由に入力でき、予測候補を採用する必要もないとしています。

一方、リストの規模や構成、特定の政治的な表現を制限対象とした理由については、直接回答していません。

2023年にAppleはiOS17で、英語の卑語が意図せず別の言葉に自動修正される問題も見直しています。

ただし、自動修正の改善と今回の非公開リストが、同じ仕組みであると確認されたわけではありません。

電子フロンティア財団(EFF)のデービッド・グリーン氏は、不適切な候補の表示を防ぐ仕組みには一定の合理性があるとしながらも、その存在をユーザーに知らせ、設定を変更できるようにするべきだと指摘しています。

今回のiPhone Maniaの調査では、日本語の15項目を独自に抽出し、すべて通常変換できることを確認しました。一方、英語のなぞり入力では、海外報道と類似した現象が繰り返し確認されました。

Appleがどのような基準で語句をリストに登録し、それぞれの言語でどう利用しているのか。日本語の15項目の用途も含め、まだ明らかになっていない部分が残されています。

Source: Swipeblocked, Reuters, Apple, Citizen Lab

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